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北野武の死生観が凝縮した傑作〜演出の魅力

北野武
北野武Getty Images

本作は、『HANA-BI』(1997年)でヴェネツィア国際映画祭で金獅子賞(最高賞)を受賞した名匠・北野武の4作目となる監督作品。主演のビートたけしのほか、大杉漣、寺島進、国舞亜矢らが出演する。

英BBCの「21世紀に残したい映画100本」に選出され、北野映画最高傑作の呼び声も高い本作。その魅力は、全編を貫く2つのムード、つまりいつ弾が飛んでくるかわからない緊迫感とアンニュイな虚無感にある。

分かりやすいのは、名シーンとして名高いスナックの銃撃戦だろう。このシーンでははじめ、客に扮したヒットマンが放った銃弾が、想定外の方向からいきなり村川を襲う。加えて、応戦する村川たちは、棒立ちのまま、「めんどくせえ」とでも言いたげな表情で銃を撃つ。
その姿は、自らの死を恐れていないかのようにすら感じられる。

北野は公開当時、本作の死生観を次のように語っている。

「よりいい生活を目指し、結婚して子供を作り働いて死んでいかなくてはいけない理由、根本的にいって、なぜそうするのかがわからない、そういう気分って確実にある。「ソナチネ 」の主人公ってのがその気分をかなり純粋に体現しているわけで、生きようが死のうがどうでもよくなっている」(『こんな時代に誰がした!』より)

北野は本作の公開から2年後、バイク事故で生死の境を彷徨うことになる。北野自身、この事故が「無意識の自殺だった」と語っていることを考えると、本作の主人公・村川は、北野の自画像だったのかもしれない。

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