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無名の役者たちが醸し出すリアリティ〜配役の魅力

映画『ソナチネ』は第46回カンヌ国際映画祭「ある視点」部門選出された。
映画ソナチネは第46回カンヌ国際映画祭ある視点部門選出されたGetty Images

本作の配役の特徴は、主演のビートたけしを除き、メジャーな役者がほとんど登場していないことだろう。

本作には、片桐役の大杉漣、ケン役の寺島進をはじめ、渡辺哲、津田寛治ら、錚々たる面々が出演している。今でこそバイプレイヤーとして名を馳せる彼らだが、当時は全くの無名。公開当時は戸惑った観客も大いに違いない。しかし、無名な俳優を起用することで、妙なリアリティを生むことに成功している。

こんなエピソードがある。片桐役の大杉漣は、本作のオーディションに遅刻。着いた頃には、ほとんどオーディションは終わっており、スタッフから一瞥されただけで帰されたのだという。

大杉自身、完全に不合格だと思っていたところで、合格通知が届いたという。

また、北島組組長役の逗子とんぼや、良二役の勝村政信など、ヤクザ役に「普通のおじさん」が当てられているのも特徴だろう。一般的にはコワモテではないヤクザ役を演じることで、ヤクザたちが私たちと変わらない人間であることがわかり、妙なリアリティが生まれるのだ。

ちなみに殺し屋役は、チャンバラトリオのカシラ・南方英二が演じているが、当初はなんと映画評論家の蓮實重彦が想定されていたという。

結局スケジュールの関係でこのキャスティングは実現しなかったが、もし彼がキャスティングされていたら、ニヒルで不気味な殺し屋になったに違いない。

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