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脳裏に焼き付くアヴァンギャルドなショットたち〜映像の魅力

カメラマン・柳島克己と組んで鮮烈な映像をモノにしてみせた北野武
カメラマン柳島克己と組んで鮮烈な映像をモノにしてみせた北野武Getty Images

本作には、脳裏に焼き付くようなドラッギーな構図のカットが随所に散りばめられている。

例えば、紙相撲で遊んでいた村川たちが砂浜に繰り出し、良二とケンを戦わせる「人間紙相撲」を行う。元々はテレビのコントで行われていたこのアイデアだが、本作では、沖縄の景色も相まって、なんとも幻想的で美しいカットに仕上がっている。

また、ヤクザたちの映し方も特徴的だ。普通、登場人物の一般的なバイオレンスアクションは、「アクション」というだけあって役者たちのキレの良い動きが何よりの見せ場となる。しかし、本作のヤクザたちは、横一列に並び、じっとカメラを見つめたまま、淡々と拳銃を撃つ。

最も印象的なのは、終盤、村川がヤクザの会合の現場に乗り込むシーンだろう。このシーンでは、閃光の中、棒立ちのまま撃たれていくヤクザたちと、マシンガンを撃つ村川が交互に移されるだけ。なんともチープだが、不思議とアヴァンギャルドな表現に仕上がっている。

また北野武が得意とする「映像で語る」演出も随所に用いられている。例えば、冒頭のクラブのシーンでは、ボックス席でフルーツを食べている親分を、村川たち子分が囲んで座っている。

彼らは、親分をじっと見守っているが、村川だけがスパスパとたばこを吸っている。この描写だけで、村川が組の厄介者であることがうかがえる。

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