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「心から“すげえなぁ”と思った」藤竜也、80代最初の主演映画『それいけ!ゲートボー ルさくら組』野田孝則監督インタビュー

text by 山田剛志

名優・藤竜也による80代最初の主演映画『それいけ!ゲートボールさくら組』が5月12日(金)より全国の映画館で上映がスタートする。今回は、本作で監督・脚本・編集を務めた、映画監督の野田孝則さんのインタビューをお届け。長年「ファンだった」という藤竜也さんと共に作り上げた喜劇映画の快作。制作秘話をたっぷり伺った。(取材・文:山田剛志)

【野田孝則監督 プロフィール】

1961年生まれ、福岡県福岡市博多区出身。福岡の映像制作会社を経てフリーディレクターとなり、1996年にP-FACTORYを設立。数多くのドキュメンタリー、バラエティを演出。現在は映画やドラマの制作を中心に活躍。主な映画監督作は、ロサンゼルス日本映画祭ベストコメディ賞『なんくるないさぁ 劇場版 〜生きてるかぎり死なないさぁ〜』(21)、ドキュメンタリー『紫 MURASAKI 伝説のロック・スピリッツ』(22)など。

「どこに打ってんだ、コノヤロウ」
取材を通してゲートボール競技者の“エネルギー”に圧倒される

写真武馬怜子

―――ゲートボールについて、「大人も子供も楽しめる」という評言が劇中に出てきますが、それは本作にも当てはまると思いました。まずは企画の成り立ちから教えてください。

「元々の企画を考えたのは、プロデューサーの村岡克彦さん。彼からある日突然連絡が来て、『ゲートボールで映画を撮ろうと思っているんだ』と言われたのが最初ですね。オファーを受けた当時はゲートボールについてよく知りませんでした。

家の近所でもやっているようだからシナリオづくりのヒントを得るために見に行ってみたところ、競技が違った。グラウンド・ゴルフ※なんですよ。そこにいたおばあちゃんやおじいちゃん達に話しかけてみると、『ゲートボールなんて今やってないから』って言われて。

それに対して『何でゲートボールじゃなくてグラウンド・ゴルフなんですか?』って聞いたら、『ゲートボールの競技者は面倒くさい人が多い』と言われまして(笑)」

※日本で高齢者向けに考案されたスポーツ。団体競技であるゲートボールとは異なり個人競技であり、比較的にルールが覚えやすい。

―――劇中にも同様のセリフがありましたね(笑)。

「その後、とあるゲートボールチームの取材に伺ったら、エネルギーが凄くて圧倒されましたね。競技に懸ける思いが強い分、叱咤激励の言葉も凄くて、キャプテンのおじいちゃんが、『オラーしっかり打てぇい!どこに打ってんだ、コノヤロウ!』って声を枯らして叫んでいる。

すると、咤激励を受けたおばあちゃんがベンチに戻ってきて、『あの人ねぇ、あんなこと言ってるけど、彼が一番下手なのよ。嫌よねぇ』って仰ってたりして(笑)。熱が入る分、チームの力で勝った時の嬉しさは格別だろうし、負けたら負けたで、打ち上げで罵詈雑言が飛び交う(笑)。それはそれで良い刺激になって、いつまでも若々しくいられるのではないか。そんなこんなでゲートボールという競技への関心を深めていきました」

―――ゲートボールに対して事前に抱いていたイメージが覆されたのですね。

「イメージ的には、のほほーんとした感じでしょ。全然違いますよ!“グラウンドのチェス”と称されるほど戦術は緻密ですし、時には試合中に激しい言葉が行き交ったりする。

今回、映画を通じてゲートボールの醍醐味を多くの人に認知してもらいたいという気持ちがあり、日本ゲートボール連合の方とお話する機会もいただきました。ちなみに、劇中で“ブラック5”という悪役チームが様々な手段で妨害を仕掛けてくるシーンがあるんですけど、ここ、実はゲートボール連合の方からアイデアをもらっているんです」

―――そうだったんですね! 敵チームの選手がボールを打つ瞬間に手鏡で光を反射させて目くらましを仕掛けてきたり…。

「あれ、本当にやる人がいるみたいですよ。あとは打つ時に正面に座り込んで気を散らせようとする人。打ちたい方向に人がいたら嫌じゃないですか。これ、ゴルフだと超が付くほどのマナー違反なんですけど、ゲートボールでは、ルールギリギリのようです。

脚本の初稿では、もっとえげつない反則行為を書いていたんですけど、それを連合の方にお見せしたところ、『さすがにそこまでやる人はいません。審判に止められますから』と言われ、リアルに則したアイデアをいただきました」

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