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キャラクターの生活感まで体現した
驚くほど自然な演技は必見

『そこのみにて光輝く』(2014)

監督:呉美保
原作:佐藤泰志
脚本:高田亮
キャスト:綾野剛、池脇千鶴、菅田将暉、高橋和也、火野正平

【作品内容】

 ひょんなことから仕事を辞め怠惰な日々を送る達夫(綾野剛)は、パチンコ屋で拓児(菅田将暉)という青年と知り合う。達夫は拓児が家族と暮らすバラックを訪ねると、託児の姉・千夏に一目惚れ。日を追うごとに千夏と交流を深める達夫だったが、ある日、彼女が深刻な問題を抱えていることがわかり…。

 メガホンをとったのは、1977年生まれの女性監督・呉美保。原作は、かつて村上春樹と比べられながら、若くして夭折した佐藤泰志の同名小説。第88回キネマ旬報ベスト・テンで1位を獲得するなど、数多の批評家から賞賛を集めた作品。

【注目ポイント】

 菅田将暉が演じるのは、社会の最底辺に位置する、貧困家庭で生まれ育った青年・拓児である。黄色い汚れが目立つ歯、根元が暗くなった手入れの行きとどいていない金髪など、ビジュアル面からキャラクターを掘り下げるアプローチを敢行。

 ふとした言葉遣いや、立居振る舞いなど、”生活感”に徹底してこだわった自然な演技には驚かされること間違いないだろう。荒々しい暴力性を秘めたキャラクターである拓児だが、菅田のとりつくろわない、ナチュラルな雰囲気によって愛嬌とイノセンスが加味され、憎めない、愛すべき存在に見えてくる。主演の綾野剛、池脇千鶴を脇から支える、名バイプレイヤーとしての魅力が炸裂した一本だ。

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