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声色を巧みに操ることで役を作り込む
井上瑞稀の声の表情に魅せられる

C中原アヤ集英社 C2023おとななじみ製作委員会

本作はもちろん、井上の芝居を語る上で外せないのが「声」だ。井上のキャリアを辿ると、2009年にジャニーズ事務所に入所し、同年スノープリンス合唱団のメンバーに抜擢される。

これを皮切りに2013年、2014年には舞台『ジャニーズ伝説』でも美声を響かせた。HiHi Jetsのステージでもソロ曲でバラードを選曲することも多く、伸びやかで透明感ある歌声でオーディエンスを魅了する。

井上は2021年8月放送のラジオ番組『BITS&BOBS TOKYO』(J-WAVE)のラジオドラマパートにゲスト出演したほか、2022年にはJRグループ鉄道開業150周年記念J-WAVE BITS&BOBS TOKYO SPECIAL SOUND STORY「駅で会えたら」という、一駅完結の恋愛ストーリーでも、声のみの出演経験を持つ。

純粋さや素朴さが感じられる声に感情を乗せ、朗読ともまた異なる芝居で物語の世界へと誘った。本作でも、井上が声色を巧みに操りながら春を演じている。

春はお調子者な性格だけに、表情や体を大きく動かす場面も少なくない。それに連動させながら、弾むようなおちゃらけた声もあれば、太く強く、対照的に思い悩んだ場面ではか細い声と様々。時には大人らしくキリッとした声で、場面を強く印象づけることも。

目や眉の動きに加えて、声の抑揚、濃淡、強弱をシーンに合わせながら自在に操る様子は、パレットで絵具を微調整するかのよう。一声一声にこだわるようにして、春の心情を豊かに表現している。

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