『犬鳴村』【ネタバレあり】あらすじ
悠真と康太が行方不明になり、しばらくが経った。
母の綾乃(高島礼子)は、現場検証で犬鳴トンネルを訪れると、精神に異変を起こす。
さらに悠真と共にトンネルに訪れた仲間や、明菜の遺体を解剖した医師も謎の溺死を遂げ、「犬鳴の呪い」の恐ろしさが鮮明になりはじめる。
ある日、奏は夢の中で「お前ら犬殺しの血のせいだ!」という声を聞く。奏は祖父のもとを訪れ、霊感のあった祖母が犬鳴村の出身であることを知る。
その後、奏は一連の謎を解明するため、村を訪れようとするが、すでに村は水没しており、存在しない。そんな中、幼少時に出会い、祖母が追い払ってくれた「健司」という名の青年の霊が現れる。健司は奏に村の歴史を語り出す。
かつて犬鳴村の住人は、犬を殺して食う野蛮人として、周囲の村民から恐れられてた。外界との交流は一切なく、完全に孤立した村であったが、とある団体が村を訪れて以降、様相が変わる。
団体の者は村の入口に「コノ先 日本国憲法 通用セズ」という看板を立て、村民に親切に接する。しかし、その目的はダム開発にあった。
彼らはあの手この手で村民を迫害し、終いには抵抗する住民もろとも、犬鳴村を水没させてしまった。奏は自身の祖先がダム開発の首謀者だったことを知る。
帰宅すると、母親の様子がおかしい。彼女は明菜が亡くなる前に口ずさんでいた童謡を呟き、1人で笑い出すのだった。奏は母親の正気を取り戻し、2人の兄弟の行方を突き止めるために、再び犬鳴トンネルを来訪。
犬鳴ダム近くの電話ボックスのサイレンが鳴り、受話器を取ると、中からは兄弟2人の声が聞こえる。また、トンネルを封鎖していたバリケードは解かれている。
すると、再び健司の幽霊が現れ、奏を奥へと案内するのだった。健司と共にトンネルを抜けると、そこはかつての犬鳴村である。
犬小屋には悠真と康太が閉じ込められている。健司は奏の腕を引き、とある部屋に連れていく。そこには死にかけの女と生まれたばかりの乳児がいる。
女は健司の妻であり、赤子はその子供である。健司は赤子を奏に渡すと、「この子を連れて行ってくれ」と告げる。
奏は犬小屋から兄弟を助け出し、赤子を抱えて犬鳴村から抜け出そうとするが、健司の妻が犬に変身し、追いかけてくる。健司と悠真が盾となり、奏と康太は村から抜け出し、近くの民家にたどり着いた。
しかし、民家の内装は古く、2人はまだ過去の世界に迷い込んだままのようだ。2人はそこで力尽きたように眠りに落ちる。
目覚めると、そこは祖父の家である。どうやら現代に戻ってきたようだ。
しかし、傍らにいた赤子はいない。その後、無事に帰京を果たすが、程なくして悠真の遺体が犬鳴ダムから発見される。遺体には健司とその妻の遺体が絡みついていた。
母親のメンタルは回復し、いつもの日常が戻ってきた。奏は患者である少年・遼太郎の治療を終え、病院を去る彼を笑顔で見送る。遼太郎は笑顔を返すが、口元からは牙のようなものがほの見える。
奏が病院の廊下を歩き、診察室に帰ろうとしている。犬鳴村の童謡を口ずさむが、その歯はやはり牙のように尖っている。犬鳴村の呪いは継続中であることを暗示して、映画は幕を閉じる。