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フェイクドキュメンタリーの手法の応用〜脚本の魅力

脚本を務めた保坂大輔(左から2番目)
脚本を務めた保坂大輔左から2番目Getty Images

実在する心霊スポットである犬鳴トンネルを舞台とした本作では、随所にフェイクドキュメンタリーの手法が使われている。

例えば、本作の「呪い」が発動するきっかけとなる冒頭シーンでは、明菜と悠真がハンディカメラ片手に犬鳴村に突撃する。今どきの迷惑YouTuberがやりそうな行動だけにあまり擁護できないが、話が進むにつれてこの行動が実は必然であったことがわかっていく。

このあたりの物語運びは、さすがといってよいだろう。

また、原典となる犬鳴村の伝説を細かい部分まで拾っている点もポイントが高い。特に、冒頭に出てくる「この先、日本国憲法は通用せず」という看板や差別の歴史などは犬鳴村の伝説そのままであり、ネットロアのファンにとっては嬉しいサービスだろう。

とはいえ、他のJホラー作品に比べて優れているかといえば、決してそんなことはない。まず何より、全体的に詰め込みすぎだ。

特に後半30分に至っては、幽霊と並行して「犬人間」が登場し、どちらを怖がればいいのかよく分からない。また、主人公の奏が女医であるという設定も活きておらず、観客を混乱させることにしか貢献していない。

なお、もとの犬鳴村伝説では、「狂人が住んでいる」という設定になっている。コンプライアンス的な観点から製作陣が「犬人間」に設定を変更し、それで怖さが半減してしまったとすれば、なんとも残念だ。

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