高島礼子の振り切った演技に注目〜配役の魅力
本作の演技で注目すべきは、奏の母・森田綾乃役の高島礼子だろう。
悠真と康太が犬鳴トンネルで失踪したことを知り、半狂乱になって騒ぐ演技は、幽霊に本当に取り憑かれているのではないかと思えるほどの迫力だ。四つん這いで食事を犬のようにむさぼり食う姿も、女優魂を感じさせる。
明菜役の大谷凛香にも注目。特に、彼女が死ぬシーンでは、明菜を探す悠真に電話で「もうすぐ行くね」と伝えた後、悠真の目の前の鉄塔から飛び降りる。このシーンは、本作でも指折りの恐ろしいシーンだ。
また、振り切った演技といえば、摩耶役の宮野陽名も挙げなければならない。ラスト、犬化した彼女が奏と悠真に牙を剥いて襲ってくるシーンは、本作最大の見せ場になっている。
とはいえ、見方によってはこの場面が単に「犬のコスプレをした女性の反復横跳び」にしか見えないかもしれない。もう少し脚本がしっかりしていれば…と今更ながら悔やまれる。