謎を解く鍵となる
架空の地下倉庫「Z-13」
回想シーン後、いよいよ、露伴と泉がルーヴルへと乗り込む。原作では、パリの街並みなどは、特に強調して描かれてはいない。しかし、今作ではルーヴル美術館に着くまでの道中の街並みがとても美しく描かれている。
そして、ルーヴル美術館出版部の職員を務める、エマ・田口(美波)に泉が頼んでルーヴル美術館の前で写真を撮ってもらうシーンもあるのだが、このくだりも後の展開を見ていく上で重要な役割を果たしている。
さらに、原作にはない「モナ・リザ」の前で、露伴と泉たちが話すオリジナルシーンも挿入されている。映画版ならではの贅沢なシーンとして堪能できるこの数分間は、そもそも撮影許可を取ることが難しいルーヴル美術館の内部を撮影した映像として貴重である。
ルーヴル美術館に着いた露伴と泉はエマ・野口に、山村仁左衛門の絵画がないかと調べてもらったところ、10数年前に日本から購入され、「Z-13倉庫」に眠っていることが判明する。
「Z-13倉庫」とは、架空の地下施設である。30年ほど前までは使われていたが、セーヌ河の氾濫による水害を危惧し、そこに保管されていた絵画は全て他の倉庫に移動した。つまり、本来は、絵画が一枚もあるはずがない場所なのだ。露伴と泉、職員たちはそこに向かうことになる。
このブロックで、さらに原作にはない要素が導入されている。同行した東洋美術専門家である映画版オリジナルキャラ・辰巳隆之介(安藤政信)は、「ここにそんな絵画はない」と言い張る。そして、露伴は、自身が落札したモーリス・ルグランの絵画は山村仁左衛門が描いた絵画を、この場で模写した贋作だと推理する。
露伴はさらに、辰巳がモーリス・ルグランにこの倉庫に保管されていた様々な贋作を描かせ、本物を盗み取り、贋作の裏に貼り付け、オークションにかけていたことを見抜く。
しかし、「最も黒い絵」だけは盗むことができず、モーリス・ルグランは贋作を描いた後、変死を遂げていた…。ルグランの死の真相は次のパートで明らかにされる。