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「最も黒い絵」の裏に記された「後悔」の意味とは?

(C) 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 (C) LUCKY LAND
右から安藤政信美波高橋一生飯豊まりえC 2023岸辺露伴 ルーヴルへ行く製作委員会 C LUCKY LAND

※ここからは原作と映画のクライマックスについて言及があります。

物語は佳境に突入する。「Z-13」倉庫の奥に眠る「山村仁左右衛門」が描いた「最も黒い絵」に、露伴一行はたどり着く。

どうやらその絵を見た者は、自身が経験した「後悔」「過去の過ち」さらに「自身の先祖が犯した過ち」に関わった犠牲者たちの怨念の攻撃にさらされるようだ…。他の人間が攻撃を受けている姿を見て、露伴はそう推測する。

ここに来て、モーリス・ルグランが「最も黒い絵」の贋作の裏面に記した「後悔」という文字の意味が判明する。おそらく、「贋作を描き続けた」たモーリスは、その行為を悔やんでいたため、怨念の攻撃によって呪い殺されたのであろう。

原作でははっきりとした亡霊のような形で描写されていた怨念だが、映画版では、怨念が可視化されることはなく、音声やリアクションだけで襲われる姿が描かれる。得体の知れない恐怖がむしろ強調されていて、見事な演出だ。

エマ・野口に対しては、かつて自身の不注意で水死した息子の怨念が襲い掛かる。「あたしのかわいいピエール」と、幻覚の中で、息子に触れるエマ。

原作でエマは、ピエールの亡霊に接することにより、体から水を吐き、息子と同じように窒息死するのだが、映画版ではエマが死亡する前に、露伴が機転を利かし、泉とエマを屋外に逃がす。そして、脱出後、泉はエマに対し、息子が亡くなったことを「あなたのせいではない」と、彼女の肩を抱きながら、やさしく慰める。

登場人物の生死に関して、非情さが際立つ原作の世界観が好きな人からは不評を買うかもしれないが、筆者は実写版ならではの優しい改変を好ましく思った。

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