「ヘブンズドアー」の能力が炸裂するクライマックス
さらに、このシーンで挿入される泉のちょっとした回想シーンにも注目したい。
ルーヴル美術館に訪れた際に、エマに撮ってもらった写真。それは、海外旅行好きの亡き父がかつて同じ場所で撮った写真と、同じ構図で撮ってもらっていたのだった。このシーンがあることで、冒頭で泉がルーヴルに行く前からワクワクしていた描写が深みを増してくる。「海外に取材旅行に行くことが」といった重要なのではなく、亡き父の思い出の場所に行けることが彼女の気分を高揚させたのだ。
そして映画後半に至ると、泉は息子を失ったエマを慰めるのだが、泉もまた家族を失った経験を持つという点が、シーンのエモーションをより一層高めている。今後の実写版シリーズにて、本作で生存したエマが再登場すれば、胸熱な展開となることだろう。
このパートではさらなる急展開が用意されている。原作では露伴は複数の亡霊に襲われるのだが、本作では露伴の「後悔」とは本来関係ないはずの、山村仁左右衛門の亡霊らしきものが現われ、露伴を攻撃してくるのだ。さらに、奈々瀬まで現われ、山村の亡霊らしきものを止めようとする。これは映画オリジナルシーンである。
窮地に陥る露伴だったが、「ヘブンズドアー」の能力で、自身を本と化し「記憶を全て消し 外に出る」と書き込み、そこから逃げ出すことに成功する。
ちなみに、露伴は自身の手に「頭の文字をこすれ」と「ヘブンズドアー」によって書き込んでおり、記憶のなくなった後にその書き込みを見て、言いつけどおり、頭の文字をこする。すると、消えた記憶は復活。以上のような難解なチート能力により、事なきを得るのだった。