ホーム » 投稿 » 日本映画 » 劇場公開作品 » 山村と露伴の類似はただの偶然か…本作の最大の謎は? 映画『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』、全トリックを解説&考察 » Page 9

山村と露伴の類似は、ただの偶然なのか?
本作の最大の謎に迫る

(C) 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 (C) LUCKY LAND
C 2023岸辺露伴 ルーヴルへ行く製作委員会 C LUCKY LAND

そして奈々瀬は、露伴青年期パートでみせた身振りを想起させるような形で、「何もかも全て忘れて」と言い残し、その場を去る。「この世で最も黒い絵」による悲劇を生まないために、「あたしを許して」から変換されたセリフだと解釈すれば、非常に合点がいく。「許してほしい」のではなく、「忘れてほしい」のだと。

しかし、それに対して露伴はつぶやく。「忘れない」と。

最後に、ここまで読めばお気付きの方もいるとは思うが、本作における最大の謎について言及しておこう。

奈々瀬は、あくまで「旧姓」が「岸辺」なので、岸辺露伴の遠い昔の血縁者だったのだろうと想像がつく。であれば、山村と露伴が似ていたということは、ただの偶然なのか?それとも、奈々瀬は実のところ山村との間に子を身ごもっていたという裏設定があり、露伴は山村の血を引いた直結の子孫なのであろうか?

制作陣はここでも謎を明らかにせず、観客の判断に委ねるといったスタンスをとっている。それもまた『ジョジョ』味なのかもしれない。

総じて言えるのは、映画版ならではの新キャラクターの導入、既存キャラクターの深掘り、謎解き要素の追加などが、絶妙なバランスで交わり合う本作は、ぜひ、大スクリーンで堪能すべきである、ということだ。

(文・ZAKKY)

5月26日(金) ロードショー

【作品情報】
出演:高橋一生  飯豊まりえ / 長尾謙杜 安藤政信 美波 / 木村文乃
原作:荒木飛呂彦「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」(集英社 ウルトラジャンプ愛蔵版コミックス 刊)
監督:渡辺一貴
脚本:小林靖子
音楽:菊地成孔/新音楽制作工房
人物デザイン監修・衣裳デザイン:柘植伊佐夫
製作:『岸辺露伴 ルーヴルへ行く』 製作委員会
制作プロダクション:アスミック・エース、NHKエンタープライズ、P.I.C.S.
配給:アスミック・エース
■コピーライト:© 2023「岸辺露伴 ルーヴルへ行く」製作委員会 © LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社
公式サイト

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10
error: Content is protected !!