生田斗真が主演を務める映画『渇水』が6月2日から公開中だ。生田が演じるのは市の水道局に勤める岩切俊作。任された仕事を日々、淡々とこなす職員を演じている。今回は本作の見どころ、そしてジャニーズ所属の俳優として様々な作品で活躍する生田。代表作と共に軌跡、俳優としての魅力に迫ってみたい。（文・柚月裕実）【あらすじ キャスト 考察 解説 評価】

トレードマークの笑顔を封印した生田斗真の表情に注目

原作は河林満の小説「渇水」（KADOKAWA）。監督を務めるのは髙橋正弥。脚本は及川章太郎。そして今作で初めてプロデューサーとして白石和彌が携わるなど、キャスティングをはじめ制作陣にも注目が集まる作品だ。

生田が演じる岩切俊作は、市の水道局で働く職員。水道料金を滞納中の家庭や店舗を訪問し、料金を徴収するのだが…。どんな事情があれど、徴収できなければ条例等の“規則”に則って「停水執行」。それは真夏であっても同情することなく水道を止める。淡々と業務をこなす岩切だが、ある一件の停水執行をきっかけに物語が動き出す。

生田といえば穏やかな雰囲気で、優しい人柄を感じる柔らかい笑顔が印象的だ。バラエティ番組では、誰とでも笑いを交えながらトークを交わす姿が見られる。本作で生田が演じる岩切は、仕事を淡々とこなす、ごく普通のサラリーマン。実は妻（尾野真千子）と息子とも上手くいっておらず、表情は曇っている。

雨が降らず、日照りによって給水制限が発令された夏。岩切は停水が決定した家庭で、まだ幼い恵子（山﨑七海）と久美子（柚穂）という姉妹に出会う。そんなタイミングでの停水は非情にも思えるが、どんな事情があっても規則だから止めるのだ。