長年にわたり愛される名曲の数々〜音楽の魅力

本作が「国民的アニメ」となった背景には、久石譲をはじめとする音楽家による音楽の力があることも忘れてはならないだろう。オープニングテーマの「さんぽ」は、1992年以降小学校の音楽の教科書にも掲載されているほか、保育園や幼稚園での合唱曲としても定番中の定番になっており、子どもの頃に歌ったという人も多いことだろう。

特に、本曲は、一単語一単語がはっきりと区別され、井上あずみの明るい歌声も相まって、まるで実際に散歩しているかのように子どもたちにイメージをはっきり喚起させることに成功している。

また、エンディングテーマで主題歌の「となりのトトロ」は、公開の半年前にイメージソングとして制作されたもので、作詞は宮崎自身が担当。「子どものときにあなたに訪れる不思議な出会い」という歌詞が見事に本作の内容とマッチしており、キャラクターソングとして抜群の安定感を誇っている。

なお、こうした本作のメジャーなテーマに対して、いわば「裏テーマ」といえるのが「風の通り道」だろう。実はこの曲は、本作の劇伴音楽を担当した久石譲が本作の制作以前に作っていたもの。シンセサイザーによる神秘的な音色が本作の作品世界に奥行きをもたらしている。

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