「倒産」という言葉に込められたセンス
本作は、江戸時代に実在した、現在の新潟県にあった「村上藩」をモデルとしながらも、「時代劇」と謳ってはいない。あくまでも「逆転エンターテインメント」として、ストーリーが描かれている。
しかし、ここで一つの疑問が沸く。「倒産」という言葉は、企業や事業者が資金繰りに窮し、事業継続が困難になる状態を指す。藩を自治体と定義するならば、「破綻」とするのが適当であろう。
そこをあえて、「倒産」という言葉を、あえて“誤用”した点に、浅田のワードセンスとユーモアを感じる。
主演の神木隆之介と、ヒロイン役に杉咲花は、ともにNHK朝ドラで主役を張る実力を存分に披露している。さらに、音楽は、同じくNHK朝ドラ「あまちゃん」の大友良英で、その楽しげな音楽は本作を見事に彩っている。
“時代劇らしさ”をかなぐり捨てたようなキャラクター設定やストーリー展開、その演出方法は、好みが分かれるかも知れないし、時代劇を期待した観客を裏切っているかも知れない。