西畑大吾の“目の演技”に注目
西畑が演じる友彦は、長めの前髪で左目を覆い隠す、見るからに心を閉ざした様子。脳科学者らしい凛とした雰囲気もありながら、疑心暗鬼という複雑な心境をわずかな表情の動きで表現している。
古くから変わらない島の風景と先端技術を用いた異世界のコントラストが少々不気味な雰囲気で、島らしいひと気のなさ、海と降雨、不気味な劇中歌が不安をかき立てる。さほど異次元な世界観ではなく、身近な怖さで観る者をじわじわと恐怖へ誘う。
島に降り立ったばかりの片岡を通して、こちらも片岡と共に島を訪れ、様々な事象に遭遇しているような錯覚に陥る。また、決して恐怖や衝撃映像の連続ではないので、これまでホラー映画に親しみのない層にも見やすい作品だ。
西畑のチャームポイントのひとつである柔らかい笑顔も、ステージでセンターに立つ際のオーラも封印して挑む初のホラー映画主演作品。これまで見せたことのない“目の演技”で、観客を映画に引き込んでくれる。