ホーム » 投稿 » 日本映画 » レビュー » 宮崎駿と鈴木敏夫が絶賛した声優とは? 映画『もののけ姫』徹底考察。ハンセン病とこだまの意味は? 舞台と壮絶な最後を解説 » Page 7

人間の業を語る壮絶な名曲の数々―音楽の魅力―

『もののけ姫』2人でシシ神に頭を返すシーン
もののけ姫2人でシシ神に頭を返すシーン© 1997 Studio GhibliND

本作の音楽を手がけるのは、宮崎作品ではおなじみの久石譲だ。久石は、本作のオファーを受けた際、「『風の谷のナウシカ』以来の心構えで臨まなければいけない作品」と直感し、公開の1年半年前から作曲に臨んでいる。以下では、久石が作曲した珠玉の名曲の数々を紹介しよう。

まずは、オープニングを飾る「アシタカせっ記」。オーケストレーションが印象的な本曲は、壮大な叙事詩である本作の幕開けに相応しい曲であるとともに、序盤で描かれるアシタカの呪いと過酷な運命を象徴した曲でもある。

続いて、タタリ神がアシタカと死闘を繰り広げるシーンで流れる「タタリ神」は、久石が本作で最初に書いた曲。大太鼓の祭囃子のようなリズムが繰り返され、観客の緊迫感をこれでもかと煽る曲に仕上がっている。

また、本作といえば、やはりカウンターテナーの米良美一の美麗な声が印象的なメインテーマを忘れてはならないだろう。宮崎は、スタジオジブリへの出勤途中、カーラジオを通して米良のデビューアルバム『母の唄~日本歌曲集』を耳にし、米良の起用を即決したという。

なお、本作の歌詞は宮崎自身が書いたイメージボードを元に作詞。加えて、久石は本曲で篳篥(ひちりき)やケーナといった民族楽器にシンセサイザーを使用。新旧の楽器の共演により、幽玄で神秘的な音楽に仕上げている。

そして本作のラストを飾るのが「アシタカとサン」だ。それまでの楽曲とは打って変わって、流れるようなピアノの旋律からはじまるこの曲は、全てが破壊し尽くされたシシ神の森の浄化のはじまりを示すとともに、業を背負いながらも生きていかなければならない人間を象徴しているようにも感じられる。

このラストシーンには、言葉を超えた凄味と感動があり、観客の心を揺さぶること間違いないだろう。

【関連記事】
原作とどこが違う? 王蟲の正体とは? 映画『風の谷のナウシカ』徹底考察。 意味深なラストの真相は? 珠玉の楽曲も解説
主人公はクズ…? 声優はひどい? 映画『風立ちぬ』は美の追求とエゴイズムをテーマにした野心作。歌に込められた意味を考察
大爆死! 大赤字のアニメ映画…歴史に残る失敗作5選。ジブリもディズニーもやらかしていた! 大コケの理由を深掘り考察

1 2 3 4 5 6 7
error: Content is protected !!