外国人に刺さるジャパニーズ・カルチャーとこだわりのロケ地
映画『レポマン』を意識した、冒頭の路地裏で男女が消えるシーンや、映画『未知との遭遇』のマザーシップのようなUFOの造形から、内田監督の映画愛を感じる本作。
6つに分けられたエピソードは、2人の監督がそれぞれのパートを編集したうえで、「一本の作品としてどう見えるか?」を判断し、ふたたび各パートを編集するという作業を繰り返したという。
物語の拠点となるバー兼探偵事務所は、新宿ゴールデン街に存在する設定だが、実際には新宿一丁目にあるレストランバー「カールモール」をそのまま利用している。
また、売れない映画監督・石渡はふらっと入った映画館で観たとある映画に衝撃を受けるのだが、その場所は本作が公開されているテアトル新宿。本作の上映が決まったのは、撮影後かなり経ってからのことであるというから、偶然にしてはできすぎている。
所々で新宿の街並みが映し出されるのだが、そのうちの一つにテアトル新宿を出た先の、靖国通り沿いの歩道も登場する。映画館を出た後にその景色を見ると、まるで自分も物語のなかに入ってしまったかのような感覚に陥り、映画の中の登場人物と、自分が同じ街に生きていることを実感できる。
観終わった後まで没入感が凄まじく、映画館で鑑賞することまで計算し尽くされたかのような、映画の神に導かれたかのような作品。近郊の方は、ぜひ本作をテアトル新宿で“体感”してほしい。
(文・野原まりこ)
【作品概要】
『探偵マリコの生涯で一番悲惨な日』
伊藤沙莉 北村有起哉 宇野祥平 /竹野内豊
監督:内田英治 片山慎三 脚本:山田能龍 内田英治 片山慎三 音楽:小林洋平
プロデューサー:菅谷英智 藤井宏二 尾関玄
キャスティング:伊藤尚哉
撮影:岸建太朗
照明:尾崎智治
録音:平直樹
助監督:井手博基
美術:松塚隆史
衣装:百井豊
ヘア&メイク:板垣実和
編集:小美野昌史
サウンドデザイン:岩丸恒
アシスタントプロデューサー:藤田航平
宣伝プロデューサー:泉真人
制作担当:今井尚道
製作:「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」
製作委員会(東映ビデオ S-SIZE Alba Libertas 吉野石膏)
制作プロダクション:Libertas 配給:東映ビデオ
©2023「探偵マリコの生涯で一番悲惨な日」製作委員会
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