「和気藹々としていた」「自分のことで精一杯だった」
2部構成による現場での違い
―――現場の雰囲気はいかがでしたか?
田中「和気藹々としていましたね」
笠原「あ、そうか。僕と田中さんとでは現場の雰囲気が違うか」
田中「そっか、違うか。前半と後半で作風も違うしね」
笠原「なかなか現場全体を見る余裕がなくて…。とにかく自分のことで精一杯でしたね」
田中「俺は楽しい現場だと思ったよ」
――――どのシーンが一番大変でしたか?
笠原「やっぱり悲劇を引き起こすシーンですね。ちょうど撮影日が自分の誕生日だったんですよ」
―――えぇー!
笠原「生と死が合致したというか『俺、本当にこの瞬間に生まれたんだ』と。でもそれと同時に殺伐とした気持ちで、朝から具合悪くて。どんなに空回ろうがとにかく自分自身に集中するという感じでした」
田中「そしたらリュックを忘れちゃったんだよね」
笠原「そういう可愛いミスもあったんですけど…」
田中「『なんでお前さっきまで着けていたやつが無くなってるんだよ』ってね(笑)。画がつながらなくなる」
笠原「それでもう一回撮り直しになって。自分の浅はかさだったり、バカさだったり、本当に色んなものが入り混じってぐちゃぐちゃになって…。でもだからこそ出来たシーンでもあると思います」
――― お2人が共演するシーンは全速力で走るシーンだけでしたが、そこでのエピソードはありますか?
田中「あのシーンを撮影する時、コイツがいきり立っていて『捕まえられそうだったら、捕まえていいですか?』と言ってきたので『分かった。俺も必死で逃げるから』と走ったんですけど、どれだけスピードを落としても全然追いついて来なくて(笑)」
笠原「いいじゃないですか…俺が運動神経悪いみたいな」
田中「どんどん差が開くから(笑)」
―――速そうでしたよ!映像では全然バレてないです(笑)
田中「もうちょっと待った方がいいのかな?って」
笠原「あそこは転んだら危険なシーンだったんで」
田中「だから監督は『そんな速く走らなくていいからね』って言ってくれてたんだよ」
笠原「監督はそう言ってくれてたんですけど、『死ぬ気で行きますよ』って言って」
田中「そしたら全然来ねぇじゃん!って(笑)」
笠原「でも走るシーンっていいなと、あの映画観て思いましたね」
―――あのシーンは何度か撮影したんですか?
田中「カメラマンさんも走っていたので3回くらいかな。その次の僕が一人で走っているシーンが、車と並走して撮影していたので、スピードが合わなかったりして、40回くらい走りました」