父と息子の二人三脚ー演出の魅力
本作は、東京オリンピックを間近に控えた横浜を舞台とした青春アニメ映画。監督は『ゲド戦記』(2006年)で知られる宮崎駿の長男・宮崎吾朗。佐山哲郎原作、高橋千鶴原画による同名漫画を原作とし、企画・脚本を宮崎駿が担当している。
スタジオジブリの若手育成計画の一環として、『借りぐらしのアリエッティ』(2010年、米林宏昌監督)に続く第2作目として公開された本作。駿は「映画監督は2本目が大事で、本当の評価が出る。1本目はビギナーズラックもあるんだ」「2本目は成果が問われる。ダメだったら解任の可能性もあるが、やらせよう」と発言し、息子の吾朗を抜擢した。
なお、制作にあたっては、「口を出さない」という条件のもと、完全に吾朗に一任。その結果、駿の作品ほどの傑作とはいかないものの、多くの人に愛される佳作となった。
本作の製作の舞台裏は、2011年にNHKで放映されたドキュメンタリー『ふたりコクリコ坂・父と子の300日戦争〜宮崎駿×宮崎吾朗〜』に克明に記録されている。DVD化もされているので、気になる方はチェックしてみるといいだろう。