“インコの糞”にみる宮崎駿の本気とは…? 映画『君たちはどう生きるか』徹底考察&解説。映画館で観るべき理由とは?
text by 灸 怜太
スタジオジブリ宮崎駿の最新作『君たちはどう生きるか』が現在絶賛公開中だ。前作から10年の時を経て、公開された待望の最新作。事前のプロモーションを一切しないという宣伝戦略のもと、全ての日本国民が期待に胸を高まらせ、既に複数回観たという人も。今回は、そんな本作のレビューを紹介する。(文・灸 怜太)【あらすじ キャスト 解説 考察 声優 評価】
事前情報一切なし
妙な連帯感とワクワク感で元がとれる
公開日までまったく情報を出さないという異例の宣伝戦略で、見事に賛否両論という名のバズりを獲得した『君たちはどう生きるか』。 このタイトルからすでに謎掛けに満ちており、ミスディレクションを誘っているという、実にイベント感のある仕掛けもたまらない。
いまの時代に情報統制することは大変だったと思うが、せっかくなので、こちらもゼロの状態で劇場に駆けつけるのがスジというもの。ポスターすら凝視しないで、初日にそそくさとシネコンに飛び込むと、平日昼間なのに8割くらいの埋まり具合。子供は見かけなかったが、制服姿の10代から杖ついたご老人まで客層も幅広かった。
ここにいる人たちが、みんなゼロに近い情報量で、初見の映画をいっしょに観る…。この妙な連帯感とワクワク感は、それだけで元が取れたような気がする。ただ、作品に対するハードルも上がっているのも確かだ。
なにせ時代設定も、物語も、キャラも声優もわからない。とはいえ、はじまって数秒、最初のワンカットの雰囲気と、サイレンのスピーカーが少しだけ鳴動しているのを観ただけで、「ジブリ映画だな」と安心できた。