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固めな作風でもジブリ感漂う細やかな表現

木村拓哉
木村拓哉Getty Images

物語が不明で展開が手探りなので、必然的にキャラクターを凝視する。主人公のマヒト君を中心に、そんなに丁寧に動かす必要ある? というくらいの所作まで表現したアニメーション。そこにCGがアクセント的に使われており、火事のシーンの炎の歪み表現などは、いままでの宮崎駿作品と違う点かもしれない。

とはいえキャラ造形がシリアスで、テンポもじっくりなので、今回は硬めの作風なのと思わせつつ、7人の小老婆が出てきたあたりから「ジブリだな」と思い直す。このジブリ感は、中盤以降に暴走をはじめる。ファンタジーといえばその通りだが、展開も、設定も、キャラも、確実に想像を超えてくる。青サギなどは作画も崩れて、一瞬気持ち悪くなったりする。

唐突なようで繋がっていて、観たことありそうで無い絵面。熱に浮かされているようにイメージが連続していく。

いかにも裏設定がありそうな、思わせぶりなセリフも出てくるが、説明も、回収されることもない。考察すれば元ネタや答えはあるのかもしれないが、とにかく画面の情報量がすごいので、考えるのをやめて身を委ねるしかない。

それでも楽しめるし、笑えるし、感動する。映画を観る喜びに浸れる。心のなかで「宮さん、相変わらずキレてますね!」と声をかけたくなる。

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