不思議な懐かしさが胸に染みる
ジブリの集大成とも言えるセルフオマージュ
その理由は、超展開に従いていくのが必死なところに、ジブリ映画ならではの、グっとくる要素が不思議な懐かしさとともに胸に刺さってくるからだ。
マヒトがベッドで気が付き、水飲みから水を飲むときの表情のカッコ良さ。ワラワラたちの、ズルいくらいの愛らしさ。若きキリコさんの頼りがい。歌手のあいみしょんが声を担当したヒミの天真爛漫な喋り方。
さらに、やけにリアルなインコの糞が証明するアニメーター・宮崎駿の並外れた手腕…。何気ないシーンに胸がアツくなってしまうのは、これまでの個人的なジブリ体験を呼び起こすからかもしれない。
音楽もココロに響く。久石譲が現代音楽の人だということも改めて伝わるし、鳴らせ方も絶妙。声優に関しても、序盤でもう誰が誰だが気にならなくなる。
『君たちはどう生きるか』には、宮崎駿とスタジオジブリの集大成とも、セルフオマージュともいえる雰囲気が漂っている。これは意図的なものなのだろうか。