『君たちはどう生きるか』を映画館で観るべき理由
ワラワラやインコといったキャラクターは、マーチャンダイジング(商品化計画)要員としてカネを生み出すために組み込んだのかもしれない。相変わらず美味しそうな食事シーンも「ジブリといえば」という意味で挿入したサービスシーンのような気もする。
でも、そんなビジネス的な思惑を超えて、エプロン姿の宮さんが「なんかこうなっちゃうんだよね」「結局、これが好きなんだよ」などと呟いてそうな、天真爛漫な天才ぶりの結果にも思える。
確実にいえるのは、現時点の評価が低かったとしても、大多数の日本国民はこれから何度もこの作品を観ることになるということだ。
個人的には、あまり同じ映画を繰り返し観るタイプではないのだが、ジブリ映画だけはいつのまにか何十回も観ている。日本で生活するということは、そういうことなのだ。その間に、違和感や謎は解け、尖ってるように感じる部分も丸くなっていくだろう。
繰り返しになるが、そんな複数回視聴が約束された作品を、なんの情報もなく映画館で観れる機会は特別である上、見知らぬ他人との連帯感に包まれて映画を観る経験は滅多にできない。未見の方は「配信が始まったら…」などとは言わず、ぜひ劇場に足を運んでみてほしい。
(文・灸 怜太)
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