主人公・眞人を演じるのは山時聡真
透きとおった声色と“芯”のある表現に注目
本題のキャスティングについて、まずは主人公・眞人を演ずる、山時聡真に言及したい。筆者は、彼の名前がエンドロールで真っ先にクレジットされた際、「ああ、あの人か」とすぐに合点がいった。
大河ドラマ『いだてん〜東京オリムピック噺〜』で阿部サダヲ演じる主人公の少年時代を演じ、映画『約束のネバーランド』のドンの声で存在感を発揮していた、あの子役かと。純朴で透き通った山時の声は、随所で大人の力を借りずに自ら未来を切り開いていく眞人の“芯の強さ”も巧みに表現。俳優としてのみならず、声優としての今後にも期待を抱かせる芝居を披露している。
無名時代にジブリ映画で大役を務め、その後、役者として大成した俳優には、『耳をすませば』(1995)で準主役・天沢聖司役の声を務めた、高橋一生がいる。
山時が今後、高橋のように国民的俳優の道を突き進むのかは未知数だが、ポテンシャルは十分に秘めているといっていいだろう。