キャストの輪の中心にいる俳優とは

他のキャストも超豪華。本来であれば、それぞれ主役を張ってもおかしくない超大物が一堂に会している。ヒナの妹で眞人の新しい母・ナツコ役に木村佳乃。老ペリカン役に小林薫、大叔父役に火野正平、インコの王様役に國村隼。はたまた、それこそ誰が誰を演じているのかわからない、眞人の家の使用人老婆たちは、大竹しのぶ、竹下景子、滝沢カレン、阿川佐和子など、答え合わせが楽しみすぎる豪華俳優陣たちが名を連ねている。

最後に、主題歌を米津玄師に託した「キャスティング」についても言及しておこう。これまでのジブリ作品では、宮崎が作詞を担当する、もしくは、まだ無名のアーティストの楽曲を採用するなど、楽曲面でも宮崎ワールドを貫いてきた。しかし、ここにきて、今をときめく超メジャーアーティストをコンバート。『地球儀』という楽曲および米津の抜擢には、賛否の声が飛び交っているが、物語の世界観にピッタリな楽曲と、いつになくエモーショナルな米津の歌声を聴いて、感動を覚えた人も多いだろう。

最後に『君たちはどう生きるか』の声優陣を横並びにしたときに見えてくる、キーパーソンに言及して本稿を閉じよう。

・菅田将輝＋米津玄師＝かつて、楽曲『灰色と青』でコラボ
・菅田将輝＋あいみょん＝かつて、楽曲『「キスだけで」でコラボ
・菅田将輝＋山時聡真＝かつて、映画『CUBE一度入ったら、最後』にて、共演

本作のサプライズなキャストは、過去になんらかの形で菅田将暉と関わっていることがわかる。もしかして、菅田将輝を起点にしてキャスティングが広がっていったのでは？…という、野暮な憶測はともかく、難解をきわめるストーリー、前衛的な映像表現で毀誉褒貶にさらされている『君たちはどう生きるか』だが、声優陣の素晴らしさ一つとってみても、豊かで語りがいのある作品であることは明らかだろう。

（文・ZAKKY）

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