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海外の反響は? 宮崎駿『君たちはどう生きるか』外国メディアのレビューを紹介。本作が示すハリウッドが忘れていた美徳”とは?

text by 編集部

7月14日に公開された宮崎駿の新作映画『君たちはどう生きるか』。予告動画や事前宣伝が一切ない本作の方針は、海外でも話題となっており、すでに『The Boy and the Heron(少年とアオサギ)』)というタイトルで海外配給が決まっている。今回は英Empireによる本作の作品評をご紹介する。

ハリウッドが忘れていた映画の中身を”秘密にする美徳”

宮崎駿監督
宮崎駿監督Getty Images

近年では、映画館に足を運ぶ観客の増員を目指し、多くの予告動画やポスターなどの宣材を事前公開する。より多くの人々に公開予定である映画作品の広告を見てもらい、少しでも関心を集めるのは一般的な映画公開への動きと言える。

しかし、作品の情報が表に出過ぎた結果として、視聴前に既にその作品の半分程の内容を知っているような感覚に陥ることは珍しくない。つまりハリウッドでは、映画作品の中身をミステリーボックスのように、”秘密にする美徳”をいつの間にか忘れていたのだ。

宮崎駿監督は、映画『千と千尋の神隠し』、映画『となりのトトロ』、映画『ハウルの動く城』、映画『崖の上のポニョ』など、ジブリ代表作の監督として、長い間、世界中で神話的な地位を獲得してきた。

アニメーションというメディアにおいて、ウォルト・ディズニーに匹敵する影響力を持つ映画監督だ。

彼の作品は、世界的に見ても非常に独特。”自然の美しさ”と、“人間の醜さ”を同時に表現し、道徳、戦争、生態学を探求している部分がある。

つまり、世界に対する鋭い皮肉を、爽やかで心のこもった美しい冒険物語に、嫌味なくそっと吹き込む。そんな彼の能力は並外れている。

『もののけ姫』の緑豊かな森、『紅の豚』の平和な海辺の隠れ家、『となりのトトロ』の巨大なクスノキなどは、観るものを圧倒させ、畏敬の念を抱かせる映像である。

しかし、『紅の豚』では、第一次世界大戦中に失われた無数の命を象徴する、天国へ昇っていくパイロットの墓場が登場する。

同様に『もののけ姫』も、生き生きとした自然の生命にあふれた映画でありながら、やがて人間の自然破壊によって森から緑が失われるのだ。

このように、宮崎駿は、生態学的寓話から戦争の残酷さの痛ましい描写まで、様々なテーマを対比させ、美しい天使のようなビジュアルで補完する。

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