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ストーカー役を熱演! 映画『緑のざわめき』岡崎紗絵の公式インタビュー解禁。憧れを超えた”愛と憎悪”を表現

text by 編集部

新鋭・夏都愛未監督が、大江健三郎や中上健次の文學にインスパイアされ、葉脈と血の繋がり、ファミリーツリー、性と聖の繋がりをテーマに描くオリジナル作品『緑のざわめき』が9月1日(金)より渋谷ヒューマントラスト他全国順次公開。この度、異母姉をストーカーする菜穂子役を演じた、岡崎紗絵の公式インタビュー解禁された。

「監督から頂いた資料で役を掴んだ」
自身が演じるストーカー役に向き合い、創造する

©Saga Saga Film Partners
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■菜穂子役:岡崎紗絵 Sae Okazaki プロフィール

1995年11月2日生まれ。愛知県出身。
2015年より俳優として実績を重ね、代表作ではドラマ「教場Ⅱ」、「ナイトドクター」、「オールドルーキー」等、話題作に出演。「花嫁未満エスケープ」では主演を務めた。映画では、今泉力哉監督の恋愛群像劇『mellow』(20)でヒロイン役を好演。近年の出演作に『名も無い日』(21)、『シノノメ色の週末』(21)がある。

ーー松井玲奈さん演じる異母姉をストーキングする役と知り、どう思いましたか?

「影のある役は演じたことがなかったので、初めての挑戦でした。台本や撮影を通して悩みつつでしたけど演じることができ、嬉しくてやりがいもあり光栄でした」

ーー異母姉をストーキングする心理は理解できましたか?

「初めは読んだだけでは難しいところがあったんですが、監督とお話を重ねていくうちに段々と理解が深まりました。お姉さんへの憧れを超えて、「お姉さんみたいになりたかった」とか、「一緒に住んでいたらどうだった」とか、嫉妬みたいなものにも変わっていく、”愛と憎悪”に似たようなものを感じました」

ーー菜穂子役を演じるにあたり、何を大事に演じましたか?

「心の揺れ動きは繊細だなと思ったので、そこの疑問は無くしてやりたかったです。監督と密にお話をし合いながらやりました」

ーー監督が、菜穂子についての資料を作ってくれたそうですが、助けになりましたか?

「すごく助けになりました。菜穂子はストーカーとかはしているけれど、友達だとかは普通にいて、社会生活は普通にできている子なので、そこのバランスは悩んだところではありました。

「ストーカー」という言葉だけだと、「陰で、自分の殻にこもって、人との関わりはない人」とも取れるのかなと個人的には思うのですが、監督から頂いた資料を読んでそういうこともなく、普通に菜穂子として生活しているんだなと想像するきっかけになったので、ありがたかったです」

ーー松井玲奈さん演じる響子をストーキングするというのは、演じていて難しかったですか?

「そこまでに至る心理だとかが当たり前に経験はなかったけれど、松井さん自身が知りたくなるようなミステリアスな部分、神秘的な部分がある方だったので、そういう対象として見るのはすごくやりやすかったです。「そう思うだろうな」と理解できたので。

ストーカーをしてしまうのは、過去の色々があるからというのが深くあると思ったので、監督と話して知れたし、母親との関係性のコンプレックスや家庭のことを考えつつやっていけば、理解できるかと言われたら難しいですけれど、演じていてそこまで難しいところはなかったと思います」

ーー倉島颯良さん演じる異母妹・杏奈との関係性はいかがでしたか?

「杏奈と直接的に関わるのは最後のシーンだけだったんです。お姉さんに対する気持ちで動いていた菜穂子なので、ぽっと妹が現れると嫉妬の対象になってしまう。関わり方は難しかったです。お姉さんに対する思いよりも、杏奈ちゃんに対する気持ちの方が難しかったです。お姉ちゃんが杏奈ちゃんといい感じで関わっているのを見て嫉妬していたし、自分も杏奈ちゃんからしたらお姉さんだと思うとまた変わってきたりして、そこは難しかったです。

颯良ちゃんは、(共演シーンが少なく)会っていないからこそ、作品と繋がるところがあって、「どんな子なんだろう」というのを掻き立てられました。杏奈もそうですけれど、まっさらで、目がすごく綺麗で、優しくていい子でした」

ーー佐賀・福岡での撮影はいかがでしたか?

「自然がすごく豊かでした。ロケーションが綺麗な場所が多かったです。神秘的で画になる場所ばかりだなと思いました。特に最後のシーンの海の前の鳥居だとか、木が生い茂っている場所は、印象的でした」

ーー完成した映画を観ていかがでしたか?

「なんて心の動きに寄り添った繊細な作品なんだろうと思いました。それぞれの「肯定されたい」という気持ちを感じました。それぞれに生活があって、それぞれ理想だったり願いがあって、欠けた部分を持っている3人が、完璧じゃないし、それぞれ揺れている感じが、共感できる部分もあればそうでもない部分もあるけれど、人間っぽいなと思いました」

ーー本作の見どころはどこだと思いますか?

「観た方々それぞれ思うことも違う作品だと思うんですけれど、3人姉妹が孤独感など色んなものを抱えていると思うんです。でも、辿ればみんな繋がっていて、その繋がりをすごく求めていて。3人が出会った時に出てくる反応は見どころだなと思います。2人だったらそうはならなかっただとか、3人だからこそというところもあると思います。そういう心の動きに注目して観てもらいたいです」

ーー読者にメッセージをお願いします。

「私が行っていないロケ地もあって、完成した作品を観たら、ダイナミックで自然豊かな場所での撮影が多かったです。そういう自然のダイナミックさと、3姉妹が揺れ動く繊細さが、違ったように見てとれるのは、劇場での大画面ならではだと思います。そういう環境だとか場所の力を借りながら撮影したので、その空気感を一緒に感じて頂ければと思います」

©Saga Saga Film Partners
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【あらすじ】

過去の痴漢被害のトラウマを抱えて生きてきた響子(松井玲奈)は、病を機に女優を辞め、東京から生まれ故郷のある九州に移住しようと福岡にやってきて、元カレの宗太郎(草川直弥)と再会する。

異母姉の響子と繋がりたいと、彼女をストーカーする菜穂子(岡崎紗絵)は、異母姉妹ということは隠し、響子と知り合いに。

施設に預けられていて、8年前から佐賀県嬉野で叔母の芙美子(黒沢あすか)と暮らす高校3年生の杏奈(倉島颯良)は、自分宛の手紙を勝手に読んだ叔母に不信感を募らせていた。「まずは話してみませんか?」という支援センターの広告を見て、身元もわからない菜穂子からの電話に、悩みを打ち明け始める。同じ頃、杏奈に思いを寄せる透(林裕太)は、杏奈とうまくいくよう、集落の長老・コガ爺(カトウシンスケ)に相談しに行っていた…

就職活動がうまくいかない中、 地元・嬉野に戻り、親友の保奈美(松林うらら)に就職の相談をする響子は、ひょんなことから自分と杏奈が異母姉妹ということを知ってしまう。菜穂子は、宗太郎に恋焦がれる絵里(川添野愛)等いつもの女子会メンバーとの旅先を嬉野に決め…

【作品情報】

『緑のざわめき』

©Saga Saga Film Partners
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松井玲奈 岡崎紗絵 倉島颯良
草川直弥(ONE N’ ONLY) 川添野愛 松林うらら 林裕太
カトウシンスケ 黒沢あすか

監督・脚本:夏都愛未
プロデューサー:杉山晴香 / 江守徹
撮影:村松良  照明:加藤大輝  音楽:渡辺雄司
配給:S・D・P  製作:「緑のざわめき」製作委員会
2023年/日本/カラー/4:3/Stereo/115分 ©Saga Saga Film Partners
文化庁「ARTS for the future!2」補助対象事業

【『緑のざわめき』予告編】

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2023年9月1日(金)〜渋谷ヒューマントラスト他全国順次公開

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