最も再現度が高かったキャストは? 映画『キングダム 運命の炎』徹底考察&解説。実写版のMVPは誰? 忖度なしガチ評価
漫画家・原泰久による大人気コミックの実写化第三弾『キングダム 運命の炎』が公開中だ。今回は、映画版で主要な登場人物を演じた役者たちの再現度や活躍ぶりに着目。実写版で最も活躍したキャストは一体誰なのか? 原作ファンのライターが忖度なしでジャッジする。(文・ZAKKY )【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
山﨑賢人(信)は強靭な精神力と肉体で映画を成功に導く
主人公である信は、戦争孤児の下僕出身だが、戦国時代の世において天下の大将軍武に成りあがるという夢がある。
気性が荒い反面、涙もろい。原作ではそんなわかりやすいキャラクター像なのであるが、逆にそれが仇となったのか、連載当初、主人公のわりに中々人気が出なかった。
そのような不遇のヒーロー/信を山崎賢人は、シリーズを通して、心身をすり減らしながら、丹念に演じきった。先日行われた大ヒット記念の舞台あいさつに登壇した山崎は、王騎役の大沢たかおから、主役を演じる上での苦労を労われ号泣する一幕も。
実写版『キングダム』では、ことあるごとに口元をニヤリとする表情を強調するなど、「信」というキャラクターに個性をもたせるため、自分なりの演技プランをもって撮影に臨んだであろう痕跡がしっかりと見受けられる。
言い換えると、本作の座長である山﨑の演技からは、「原作は原作。実写版の信は俺だ!」という強い執念をひしひしと感じることができた。
また、戦闘シーンにおける身体能力の凄まじい高さも特筆すべきだろう。特に、敵に目掛けて跳躍する姿の美しさには思わず息を飲む。
ワイヤーアクションを駆使したシーンも盛り沢山。敵の攻撃を受けて地面に叩きつけられる場面も頻出するが、想像するに、撮影をつうじて山崎の体には生傷が絶えなかったことだろう。下手すれば骨折していてもおかしくはないはずだ。どのシーンを見ても信のアクションに血が通っているのは、山崎の強靭な肉体の賜物に他ならない。
信というキャラクターは、シリーズを重ねるごとに、少しずつだが人間として成長している。最新作『キングダム 運命の炎』では、嬴政が王騎に話す過去のエピソードを隠れて聞くシーンがあり、1人で頷いている芝居が秀逸だ。
純粋無垢で真っすぐなキャラクターである信が、自分と同年代ではあるが清国の王となった嬴政の悲しい過去を聞き、心を打たれる。信のボスでもある将軍/王騎は、話を聞いて嬴政の下に着くことを決める。
2人の会話を聞きながら、自分なりに自分のできることをやろうと考えている信の表情は、アクションシーンとは真逆の「静」の感情が揺れ動く。本作の静かなる名場面として必見だ。