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“日本映画史上初”無修正の浮世絵春画描写実現の映画『春画先生』白川和子が語る春画の魅力、本作の見どころ独占インタビュー!

text by 編集部

日本映画史上初、無修正での浮世絵春画描写が実現した異色の偏愛コメディ映画『春画先生』。好きなものにのめり込むおかしな者たちを描く。この度、“春画先生”こと芳賀一郎の芳賀家へ仕える本郷絹代役で、日活ロマンポルノ『団地妻』シリーズで人気を獲得した、白川和子の独占インタビューを解禁。春画の魅力や、本作の見どころについて語る。

日本映画史上初
無修正浮世絵春画描写実現!

「春画先生」
C2023春画先生製作委員会

春画は江戸幕府から禁止された禁制品で表に出なかったからこそ、自由な創作が可能となり、とどまることを知らぬ芸術の域に達して、庶民から大名までを虜にした真の江戸時代のエンターテイメントだった。

これまでその取扱いは日本映画でもタブーとされ、性器部分の描写は映倫審査でボカし加工が必要だった。しかし、本作は、映倫審査で区分【R15+】として指定を受け、商業映画として全国公開される作品としては、日本映画史上初、無修正での浮世絵春画描写が実現した。

主演に内野聖陽、ヒロインに北香那、共演に柄本佑、白川和子、安達祐実を迎え、『月光の囁き』(99)、『害虫』(02)などの先鋭的な作品で映画ファンを唸らせてきた名匠・塩田明彦が監督・脚本を手掛ける。

【あらすじ】

“春画先生”と呼ばれる変わり者で有名な研究者・芳賀一郎は、妻に先立たれ世捨て人のように、一人研究に没頭していた。

退屈な日々を過ごしていた春野弓子は、芳賀から春画鑑賞を学び、その奥深い魅力に心を奪われ芳賀に恋心を抱いていく。

やがて芳賀が執筆する「春画大全」を早く完成させようと躍起になる編集者・辻村や、芳賀の亡き妻の姉・一葉の登場で大きな波乱が巻き起こる。それは弓子の“覚醒”のはじまりだった―。

【春画とは】

肉筆や木版画で描かれ、平安時代からはじまり江戸時代の木版画技術の発達で全盛期を迎えた人間の性的な交わりを描いた画。

鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など、著名な浮世絵師のほとんどが春画を手がけていた。

江戸時代、春画は“笑い絵”とも言われ単に好色な男性のためのものではなく,身分を問わず多くの老若男女が娯楽として愛好した。その根底には明治時代以降 西洋化でのキリスト教文化流入以前の日本人が持っていたとされる 性をおおらかに肯定する精神が横溢している。

超一流から無名まで多くの絵師、彫師、摺師たちが、表の浮世絵で発揮できない、その持てる全画力と全精力、技巧を注いでとことん真面目に人の性を“笑い”や“風刺”として表現した作品が数多く現存するが、本物が展示される機会はまだ少なく、2015~16年東京と京都で開催された「春画展」以降、大規模な展覧会は開催されていない。

【“春画先生”に仕えた本郷絹代役・白川和子インタビュー】

「春画先生」
C2023春画先生製作委員会

春画自体について、いつごろ知ったのか?
「春画自体は、昔から知っていました。たしか北斎、歌麿とか著名な浮世絵師の方々も春画を書いていましたよね。ピンク映画に出演していた時代(60年代後半)に、見せていただく機会があり、その時に春画の存在を知りました。当時、私は“絵”自体が好きだったので、こういう絵があるんだ、凄いなと、感心しました。線などが凄く細かく描かれている。これって版画なの?って、今の技術では、こんなふうに描けないのではないかしら。」

春画には様々なジャンルがあり、男と女、女同士、タコのような化け物、化け物同士の“営み”を描いたものも多く、こうしたジャンルはピンク映画に受け継がれ、色々なジャンルを生み出し、今どきのポルノに受け継がれ、現代に至っていると言われている。そうし
た流れに対して
「今のLGBTQの先駆け的なものだったんじゃないかな。とても、おおらなか時代だったと思う。」

白川が、今の世の中に感じていること
「今の世の中って、世知辛くなった。(江戸時代のように)のんびりと、ゆとりを持つとか、もっとフワッとした感じでいいと思うのよね。今、かつかつし過ぎているでしょ。だから、この(春画を扱った)映画が今の時代に上映されることは、意味があると思います。しかもコメディタッチで描かれるのは、すごいですよね。深刻にならず、ハハハと笑いで吹っ飛ばすのよ。」

共演者について
「一郎役の内野聖陽さんに初めて打ち合わせで会った時に、初対面にも関わらず内野さんが『レジェンドー!』と叫んで下さり、恥ずかしかったわ。そして、弓子役の北香那さんには『とにかく頑張ればいいよ』と現場で声をかけさせていただきました。控え室で先輩として、自分のここまで頑張ってきた体験を、これからの時代を担ってくれる後輩への1つのプレゼントという形で…」

白川が演じる本郷絹代という役は、芳賀家三代にわたり仕える、75歳の家政婦役。自身の役柄について聞かれると
「絹代は、芳賀家に長く仕え、一郎(内野聖陽)に対しても恋心のような感情を持っていると思ったので、弓子(北香那)に対しても嫉妬する女心があります。若さには勝てない。フレッシュだもん。だったら中身で勝負しようと思って演じました。女同士の見えないバチバチってあるのよね。そこはぜひ見てほしいですね。」

目標している方はいらっしゃるのですかと伺うと
「目標は白川和子ね。もうここまで来たら、最後まで女優を全うするつもりです!」と熱く語った。

【白川和子プロフィール】

1947年9月30日生まれ、長崎県出身。『女子寮』で映画デビュー。日活ロマンポルノ『団地妻』シリーズで人気を獲得し、映画やテレビ、舞台を中心に活躍。主な映画の出演作に、『青春の殺人者』(76)、『復讐するは我にあり』(79)、映画『凶悪』(13)、『少女』(16)、『光』(17)、『恋のいばら』(23)、『山女』(23)などがある。ドラマでは、「夏子の酒」(94)、「白線流し」(96)、「Dr.コトー診療所」(03)、「我らがパラダイス」(23)、「罠の戦争」(23)など。第21回日本映画批評家大賞「ゴールデングローリー賞」受賞、第73回毎日映画コンクール「田中絹代賞」受賞。

偏愛コメディ映画 『春画先生』は
10月13日(金)全国ロードショー

「春画先生」
C2023春画先生製作委員会

内野聖陽 北香那 柄本佑 白川和子 安達祐実
原作・監督・脚本:塩田明彦
製作:中西一雄 小林敏之 小西啓介
プロデューサー:小室直子 共同プロデューサー:関口周平 ラインプロデューサー:松田広子
音楽:ゲイリー芦屋 撮影:芦澤明子(JSC) 照明:永田英則 録音:郡弘道 美術:安宅紀史
装飾:山本直輝 スクリプター:柳沼由加里 衣裳デザイン:小川久美子 衣裳:白井恵
ヘアメイク:齋藤美幸 編集:佐藤崇 サウンドエディター:伊東晃
VFX プロデューサー:浅野秀二 VFX ディレクター:横石淳
助監督:久保朝洋 制作担当:宮森隆介 宣伝プロデューサー:大﨑かれん
製作:『春画先生』製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、TC エンタテインメント、ハピネットファントム・スタジオ)
企画・製作幹事:カルチュア・エンタテインメント 制作プロダクション:オフィス・シロウズ
配給・宣伝:ハピネットファントム・スタジオ
2023/日本/カラー/ビスタ/5.1ch/114 分 <R15+>
C2023「春画先生」製作委員会
公式HP
[※ご注意※]
本作には、無修正の春画がでてきますこと、ご留意の上、ご鑑賞ください。

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