「まずはスタッフや共演者に自分の芝居を面白いと思ってもらう」映画『僕の名前はルシアン』主演・栁俊太郎、独占インタビュー
写真家で映画監督の大山千賀子監督が2013年に撮影をし、その後も変容させながら、10年という年月を経ていよいよ9月29日に渋谷・ユーロライブにて上映を果たす映画『僕の名前はルシアン』で主演を務めている俳優でモデルの栁俊太郎さんに独占インタビューを敢行。撮影秘話や、浅野忠信さんとの出会いについてなど、たっぷりとお話を伺った。(取材・文:福田桃奈)
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【プロフィール】
1991年5月16日生まれ、宮城県出身。2209年に第24回メンズノンノモデルオーディションでグランプリを受賞。世界190カ国に配信されたNetflix「今際の国のアリス」をはじめ、映画やテレビで話題作に続々出演。2022年は10本以上のドラマ、映画に出演。2023年7学期テレビ朝日連続ドラマ「ハレーションラブ」に出演中。2023年1月19日全国公開、映画「ゴールデンカムイ」二階堂浩平・洋平役でメイン出演。
「自分でもどうなるか分からない状態で現場に行った」
初主演で難役に挑んだ10年前
―――映画を拝見させていただき、ミステリアスな栁さんの魅力が凄く伝わる作品でした。撮影は10年程前とのことですね。
「そうなんです。今回取材にあたって、現場で起きたことを覚えているか不安ではあるのですが…。何はともあれ、無事公開されることになり、嬉しいです」
―――当初脚本を読んだ時の印象はいかがでしたか?
「監督の大山千賀子さんは、当時、資生堂などCMの仕事を多くされていて、綺麗な画を撮られる方という印象でした。脚本を読むとグロテスクな部分があり、相当ハードコアな内容ではあったのですが、過去に大山さんがお撮りになった写真や映像を観ると、そのグロさすらも美しく撮るのだろうと、想像力を働かせて台本を読みました」
―――サイコパスな役を演じるのは難しかったのではないかなと思うのですが、役作りはいかがでしたか?
「役の感情を自分の中に落とし込むのがなかなか難しかったので、とにかく必死でしたね。10年前は、今と比べて技術がなかったので、身一つで現場に行って、どれだけ自分を追い込めるか、ということを意識して現場に臨んでいたと思います」
―――感情を理解するのが難しかったと仰ってましたが、役に共感するポイントはありましたか?
「僕が演じた男の行動自体は理解しがたいところがあるのですが、行動に至るまでの感情の部分は、普通の人とそんなに遠くないんじゃないかなと思っていて。そうした感情は、程度の差こそあれ、人間誰しも持っているもの。それがこうした爆発的な行動を取ったのではないかと思いながら演じていました」
―――役を演じるにあたり、参考にした資料などはありましたか?
「当時はネットにおけるコミュニケーションのあり方が、今よりも整備されていなかった時代で、秩序が守られていなかったと思うんです。掲示板的なものがいっぱいあって、その中で誹謗中傷が飛び交い、治外法権じゃないですけど、ネットは何でも言い合える場といった印象があって。
当時は、本作で描かれているような事件も多かったんですよね。役づくりにあたり過去の事件を調べたり、大山さんとも見解をすり合わせる作業をしました」
―――大山監督とはイメージを共有する上でどのようなことを話し合いましたか?
「大山さんには『栁くんはそのままで、好きに動いて』と言われていて、特に細かい演出はなかったですね。他のキャストの方には細かく演出をされていたのですが、僕の場合は、役的にも『好き勝手に、とことん暴れて欲しい』と。でもその暴れ方が難しくて、ここまで自由を与えられると結構難しかったですね」