「まずはスタッフや共演者に自分の芝居を面白いと思ってもらう」
役者としての心構えとは?
―――完成されてから作品はご覧になりましたか?
「撮影から数年後、試写会で一度観たんですけど、その後もアフレコがあったりと試行錯誤していたので、僕が試写会で観たものと今回劇場でかかるものは、また違った仕上がりになっているかもしれません」
―――日数が経ってから追撮することも多かったと思います。そういう時は、どのようにして役を呼び起こしましたか?
「大山組って印象が鮮烈で、一つの撮影から次の撮影まで長い時間が空いても、現場に入ると自然に役に入り込むことができるんです。その点、役を呼び起こすのにそこまで苦労はしませんでした」
―――栁さんは普段、ご自身の出演作を見返したりしますか?
「観ますよ。でも、恥ずかしいですね。自分が想像していた芝居と全く違う風に映っていることもあって、そういう時は大体落ち込みます。落ち込みたくないので毎回怖いなと思いながら観ていますね」
―――普段脚本を読む時に意識していることや実践していることはありますか?
「とりあえずは何も考えずに読んでみて、作品の世界観を把握してからアプローチします。あとはその作品を想像して着る服を変えたり、雰囲気に近いものを探したりします」
―――なんと!普段の服装から役に寄せてみるということですね。
「そうですね」
―――栁さんは、日常から役に入り込んでいくんですね。モデルとしてもご活躍されていますが、お芝居との共通点はありますか?
「共通点はカメラの前に立つくらいで、モデルは客観的に自分を見ないといけないんです。カメラ横にもう一人の自分が立っていて、動く自分を見ているような、鏡を確認しているみたいな感じなんですけど、芝居だと感情を重視して自分の心で動くので、そこは全然違うかなと思います」
―――近年ドラマにもご出演されていますが、映画とドラマで演じ方の違いやアプローチの違いはありますか?
「ドラマはより瞬発力が求められるので、自然とアプローチも効率的な方を選んじゃうところはあります」
―――ドラマの時も客観的な目を排除して臨まれているのでしょうか?
「映画よりはドラマの方が客観的な目は強いかもしれないですね」
―――撮影現場ではどんなことを意識されていますか?
「その役によっても変わるし、自分の気分によっても変わるんですけど、モチベーションは常に高く保つように意識しています。観客に届けるよりも前に、まずスタッフや共演者に自分のお芝居を面白いと思ってもらえないと、一般のお客さんにも面白いと感じてもらえないと思うので、そこは意識しています」