「家族の物語に挑戦してみたい」
今後の野望とは?
―――海外のオーディションと日本のオーディションはどんな違いがありますか?
「日本の場合は紙の資料を提出して、それが通ったら面接という流れですが、海外はビデオオーディションがポピュラー。なので、セルフプロデュースみたいなところがあります。ただやっぱり英語の台本を覚えることに苦労しますね」
―――英語は元々勉強されてたんですか?
「ファッションモデルのお仕事で外国人と撮影することが多かったのと、毎年2回パリコレでランウェイを歩いていた時は、周りはみんな外国人だったので、自然と英語でコミュニケーションを取っていましたね。
でもその時は発音を気にせず喋っていたので、今は発音を気にしながら、英語のセリフを口にする難しさを痛感しています。発音の正解が分からないので、芝居の正解も分からないといいますか…。でも、感情を大切に、ピュアな気持ちで動くようには意識していますね」
―――今後演じてみたい役はありますか?
「今までは自分のことを考える時間が多かったのですが、30代になって家族に向けてだとか、周りの人に対して何を与えたいだとか、新しい価値観が生まれてきたので、いつか、今までやったことのない家族の物語に挑戦してみたいと思っています」
―――最後に本作を観る方にメッセージをお願いします。
「10年前の社会に向けて作られた作品が、今の時代に生きている人にどう響くか正直分からないですし、『素晴らしい作品なので観てください』と言うことが難しいくらい、ハードでドメスティックな内容なので、無責任なことは言えないという気持ちがあります。
でもそれを大山さんは作りたかったのだと思いますし、芸術作品を作りたいっていう気持ちは、僕を含めたスタッフ・キャストの全員に間違いなくありました。皆さんにもぜひ、大山さんが描きたかったものを観ていただけたらなと思います。
僕も演じることで、また、完成した作品を観ることで、複雑な感情を抱きましたし、色んな気持ちが生まれるんじゃないかなと思います。でも初めてですね。これから観ていただく方に対して、スムーズに言葉が出ない作品というのも」
―――本日は栁さんの正直な、心からの言葉を聞けて良かったです。ありがとうございました。
(取材・文:福田桃奈)
【作品情報】
『僕の名前はルシアン』
監督・脚本:大山千賀子
出演:栁俊太郎
菜 葉 菜 大鶴義丹
大島葉子 定岡正二(元読売ジャイアンツ)
福永里朱 恒吉梨絵 ウダタカキ 酒向芳 風間晋之助
丸山昇平 田邉和也 結城貴史 庄司浩之
美術:磯見俊裕/音楽:篠崎正嗣/撮影:市川修/照明:渡辺光雄/
編集:保泉圭太/助監督:神保英明/
プロデューサー:追分史郎・Tony Humphreys/
エグゼクティブプロデューサー:Ajay Nehra・佐々木昭夫・清水菊江
主題歌:UKen「ルシアン-win the happiness」
制作:Tokyomuse Films合同会社
配給:Tokyomuse Films
日英合作作品/2022年/104分/カラー/5.1ch/DCP
©「僕の名前はルシアン」製作委員会
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