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「“ナチュラルに”がテーマ」
ドラマと映画の演じ方の違いについて

写真:宮城夏子
写真宮城夏子

―――遠藤さんは映画のみならず、ドラマ、舞台と多方面でご活躍されています。ドラマと映画で演じ方を変えてみたり、役にアプローチする上で意識していることはありますか?

「私、映画の経験はそれほど多くなくて、正直、映画でのお芝居はまだ勉強中という意識が強いのです。

これまで、TVドラマに出演させていただく機会が多かったのですが、そこでは、ナチュラルなお芝居というよりかは、感情をわかりやすく表現することが大事になります。例えば、ペットボトルのキャップが外れているのを見て、普段だったら『ああ、外れているな』と思うところを、『外れてる!』とリアクションを大きくして観客に心情を伝える必要があります。

そうした現場で経験を積んできたこともあり、主人の現場では『ナチュラルに』と言われることが多くて。なので”ナチュラルに”というのが、映画の現場でお芝居をする上での大きなテーマです。

あとは、スクリーンが大きい分、心で思っていることが如実に目にあらわれて、一瞬でも気が緩むと、すぐに観客にバレてしまう、という点も映画ならではだと思います。『大事なことほど小声でささやく』(2020/横尾初喜監督)の時に泣く芝居があって、抑えめにしようと思っていたのに、本番では思いのほか泣きすぎてしまって。心の中で『泣きすぎたかな?』と思った途端、カットがかかって『バレた!』と思ったことがありました(笑)。ちょっとした心の動きが全部出るので、映画は怖いです(笑)」

―――映画のお芝居は難しいからこそ面白いのかもしれないですね。

「そうですね。特に今回のような繊細な心情を表現する役はとても難しい分、上手くいった時は凄く嬉しいですし、達成感も一塩です。共演の栄信さんも普段強面の役を演じることが多くて、こういう心をえぐるような作業は久しぶりだし怖いって仰っていました」

―――お芝居への考え方が変わったのは、横尾監督との出会いが大きかったのでしょうか?

「そうですね。テレビドラマに則した表現からスタートしたので、これからはもっとナチュラルに役を演じることができるようになったらいいなと思っています。

最近は、スクリーンでご活躍されている同業者さんたちを観察して、真似したりしています(笑)。本当に役に入り込んで『ただそこに居るだけ』、という境地に達している方もいらっしゃるじゃないですか。私もそれを見習いたいと思って」

―――今でも向上心をもって演技に挑まれている姿勢が素晴らしいです。

「出来ないことがいっぱいあるので。日々、勉強しています」

(取材・文:福田桃奈)

写真:宮城夏子 ヘアメイク: 佐々木 彩
写真宮城夏子 ヘアメイク 佐々木 彩

【作品情報】

『こん、こん。』
遠藤健慎 塩田みう
大橋彰(アキラ100%)森あゆ 中山晴華
龍真 松田天星 橋本和太琉 田川隼嗣 立川公彦
栄信 遠藤久美子
監督:横尾初喜 脚本:藤井香織 音楽:上田壮一
プロデューサー:髙田大、片平梓、溝口貴史、原ちなみ
撮影:松本康平
製作・配給: BLUEMOUNTAIN
製作協力:長崎国際テレビ
20223年/カラー/ステレオ/上映時間98分
公式サイト

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