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「神様がいるのではないかと思う瞬間があった」
鮮烈な色彩演出について

写真・武馬怜子
写真武馬怜子

―――本作は色彩の演出も鮮烈ですね。中でも青と赤の2色がそれぞれ違う役割を与えられていると思ったのですが、麻美監督、いかがでしょうか?

麻美「ありがとうございます。まず青は、フユと秋に干渉し、希望を与える色として、赤は登場人物たちの足を引っ張るといいますか、彼らの内側に入り込んでいく色として使いました。

衣装や車やベンチといった美術は今申し上げたイメージを考慮して用意したのですが、それ以外にも、フユが悲しい表情を浮かべるシーンで、偶然背景を赤い車が通り抜けるなど、嬉しいアクシデントがあったりして。現場では、神様がいるのではないかと思う瞬間も度々ありました」

―――最後にこれから作品をご覧になる方に向けてメッセージをお願いします。

麻美「『それは、ほんの一瞬の』というのが本作のキャッチコピーなんですけど、私は気分が一瞬で上がったり、下がったりを繰り返すのが人生だと思っていまして。

この作品を観て、一日の気分がちょっと上がったり、『もうちょっと生きてみようかな』と、一人でも多くの人に思ってもらえるたらいいなと思います」

林「人間って『自分のためだけに生きる』のが難しいと思っていて。誰かのために生きると考えることが、強く生きることに繋がると思うんですけど、やっぱりそのためには、自分から他者に働きかけることが大事なんじゃないかと思っています。

その働きかけは必ずしもポジティブなものじゃなくてもよくて、ただ誰かに『辛い』って言うだけでも、そこから関係が始まるかもしれないし、気持ちが楽になって、より強くなるための可能性が拓けるかもしれない。この映画を観た一人でも多くの方にそうしたことを感じ取っていただけたら嬉しいです」

(取材・文:山田剛志)

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