「性別が違うキャラクターのほうが描きやすい」
タイトルに込めた意味とは
―――演者たちと話し合ったことはありますか?
「事前にほとんど話し合うことはしませんでした。いつもそうなんですが、キャスティングした時点で信頼出来る人にお願いしているので、あとは現場でやってみようと」
―――『転がるビー玉』もそうですが、宇賀那監督は、よく女性の心理や言いそうなことを考えられるなと、いつも感服します。
「性別が違うというのは、自分から遠い存在だから逆にやりやすいんですよね。近いと、自分の言いたいことをただ吐露しているだけになってしまいそうで、男性の表現をする方が僕にとっては難しくて。」
―――行動心理学的にはチームとして組みづらい3人組の関係性をバランスよく描いているのも、上手いなあと。
「自分の中で3人の方が動かしやすいというのは、何かあるんですよね。明確にこれが、というのは今出てこないのですが…。今後、バディーものも描いてみたいですけどね」
―――彼女たちが最後に放つセリフと絡みも、よかったです。
戦時下で、できるだけ日常を過ごそうとするということが、多分、彼女たちなりの世の中への反抗なんだろうなと思うんですね。『愚鈍の微笑み』というタイトルにも、そんな意味を込めています。
最後の方の会話劇には、彼女たちが普通の日常を、私たちは今、ここでも続けるんだ!という強い意志みたいなものが出ればいいなと思いまして。
あと、ウクライナ関連のニュースを見た時に、『皆さん、戦争は灰色の空の中、起こると思ってるでしょ?でも、綺麗な青空の中、戦闘機がやってくるんです』と言ってる人の言葉が忘れられなかったことも、どこかで影響しています」