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『春の画 SHUNGA』出演者コメント

©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会
©2023春の画 SHUNGA製作委員会

岩下尚史(作家)

ほんの百五十年ほど前には極く、あたりまえであつたことに小めんどうな理窟を附けなければ樂しむことを憚られた時代が、やうやく、女性達の直觀によつて終りさうな豫覺のする春宮祕圖記錄映畫。

他國は知らず、天岩戸以來の男女、女女、男男の交合はいづれもめでたく、笑ふべきものなれば。

上野千鶴子 (社会学者)

春画は日本が世界に誇る国宝である。わけても清長の「袖の巻」は最高峰だ。

その絵師、彫師、摺師、版元からなるマニファクチュアの技を伝承するための復刻プロジェクト。春画のお約束は和合。女の快楽を肯定する。

江戸時代に男の男による男のためのポップアートだった春画を、21世紀に女の手によるドキュメンタリーが甦らせた。感慨を覚える。

車浮代 (時代小説家・浮世絵研究家)

この映画、永久保存版! 劇中で「世界中でエロティックアートを有名なアーティストが手がけたのは日本だけ」という発言がありましたが、実はピカソもロダンも春画を描いています。

ただしそれは、日本の春画に触発されてのこと。幕府の検閲を逃れて、やりたい放題技術を注ぎ込んだ春画は、アートであるとともに、凄腕の彫師や摺師による超絶技巧の工芸品でもあるのです。

アンダーヘアの彫りの技術も、空摺、きめだし、正面摺りといった摺の特殊技法も、傑作揃いの作品群と、変化に富んだ構成、及び大スクリーンで、本作は余すところなく魅せてくれます。

酒井順子(エッセイスト)

女も男も、自身の肉体の声に素直に耳を傾けていた時代の息吹が、この映画には満ちています。江戸の人々の春画に対する情熱と技量に圧倒されました。

笹井さゆり (イラストレーター)

私たちの思う教科書的な江戸時代の人はどこへやら。自由で時にしょうもない、愛すべき人たちが画面いっぱいに活躍しています。

その姿は美しくて、色々とR18なわけで、クスッと笑えて…そして敬意がわいてくる。現代から江戸時代を生きた人への、丁寧でまっすぐな恋文です。

田中優子 (江戸文化研究家・法政大学名誉教授)

わいせつ物として長く芸術の世界から排除されてきたものの中に発見できる、人間の夢や日常、可笑しさや悦びはどれも目を奪うほど眩い。

そして普段は最も隠されているような光景に、気が遠くなるような作業工程や技術が注ぎこまれている事実になんだかとても逞しい気持ちになった。

江戸時代、いや日本のイメージが大きく変わる映画だ。冒頭、清長の『袖の巻』から始まる。これは最高に品格のある春画である。しかしこの映画はその対極にあるグロテスクまで全て見せた。

人間から性だけを搾取して消費する今日とは逆に、性の中に人間の生命力、表現への熱情、最高の技術等々、ありとあらゆる文化が見えるのが春画だ。全ての人に見ていただきたい。

アートテラー・とに~

タブー視されがちな性の話題。

しかし、江戸時代の人々は“春画”を通じてオープンに語り合っていたのですね。それも、笑い飛ばして。コンプライアンスや自主規制といった風潮に息苦しさを感じる今だからこそ観ておきたい映画です。

西川美和(映画監督)

神は陰毛に宿っている。ミリ単位の彫りと摺りが圧巻。全盛期にはこれを彫るために、多くの彫師が腕を競っていたと思うだけでも、なんという平和かと思う。

春画の無限の美しさと独自性、そしてしなやかな多幸感を堪能しながら、日本に生きる私たちは、その後150年で多くのものを失ってしまったことも、感じ入る。

橋爪勇介(ウェブ版「美術手帖」編集長)

この映画はまさに「春画の教科書」。知っているようで知らない、「浮世絵の最高峰」と呼ばれる春画の奥深い世界を、様々な角度から堪能していただきたい。

橋本麻里(ライター・エディター・甘橘山美術館開館準備室室長)

一流の絵師、彫師、摺師たちの技術の限界を春画に注ぎ込み、浮世絵技術が発展した様は、まるでF1マシンのために開発された究極の技術を大衆車に落としこむ図式とよく似ている。春画は浮世絵におけるF1なのだ。

山本ゆかり(日本美術史研究者)

人にとって性とは何か-「春の画」では春画の森に分け入ることで、その輪郭を照らし出す。春画は娯楽であり、お笑いであり、性への祝福であった。しかし文明開化にそぐわないと禁止される。

時代に封印された闊達な感性を、多彩な作品とインタビューで現代に甦らせ、映像という新しいかたちで魅せてくれる。

【映画公開記念「銀座の小さな春画展」】

なお、『春画先生』『春の画 SHUNGA』の作中に登場する不滅の春画アイコン葛飾北斎「喜能会之故真通」“蛸と海女”実物を銀座「ギャラリーアートハウス」で公開される。

北斎、歌麿、国芳、国貞などの春画を約50点が展示。

2013年にロンドン・大英博物館で開催された「春画展」のスポンサーであり、2015年に東京で開催された永青文庫「春画展」で中心的役割を果たした浦上蒼穹堂の代表・浦上満氏に監修のもと、豪華浮世絵師の作品などバラエティに富んだラインナップを間近に鑑賞可能だ。

●会期:2023年10月21日~12月17日(日) 前期PartⅠ:10.21-11.15/後期PartⅡ:11.16 – 12.17
●時間:10:00~19:00
●会場:ギャラリーアートハウス(映画館シネスイッチ銀座横) 東京都中央区銀座4-4-5 籏ビル
●入場:18歳以上
●観覧料:1,000円 <日時指定予約制>
●:その他詳細はこちら

主催:カルチュア・エンタテインメント シネスイッチ銀座 浦上蒼穹堂
共催:「春画先生」製作委員会 「春の画 SHUNGA」製作委員会
協力:銀座 蔦屋書店

【コメント映像】

【作品情報】

出演:横尾忠則 会田 誠 木村了子 / 石上阿希 早川聞多 浦上 満
アンドリュー・ガーストル ミカエル・フォーニッツ 橋本麻里 朝吹真理子 春画ール
ヴィヴィアン佐藤 樋口一貴 高橋由貴子 山川良一
朗読:森山未來 吉田 羊
監督:平田潤子
製作:中西一雄 小林敏之  企画・プロデュース:小室直子  プロデューサー:橋本佳子
音楽:原 摩利彦  撮影:山崎 裕 髙野大樹  録音:森 英司 阿斯汗  編集:鈴尾啓太  構成:檀 乃歩也
製作:『春の画 SHUNGA』製作委員会(カルチュア・エンタテインメント、TCエンタテインメント)
企画・製作:カルチュア・エンタテインメント  制作:ドキュメンタリージャパン
配給:カルチュア・パブリッシャーズ

©2023『春の画 SHUNGA』製作委員会
【2023/日本/カラー/ビスタサイズ/5.1ch/121分/デジタル/R18+】
※一部劇場では4K上映
文化庁文化芸術振興費補助金(映画創造活動支援事業)独立行政法人日本芸術文化振興会
公式サイト

11/24(金)よりシネスイッチ銀座ほか全国ロードショー

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