なぜハリウッドは『ゴジラ』の本質を見落とすのか…? ゴジラの歴史に泥を塗るアメリカ版と日本版の違いを改めて考察
text by 編集部
現在日本で大ヒット中の映画『ゴジラ-1.0』。待ち望まれていた北米公開が12/1からスタートした。今回は、1954年に初代『ゴジラ』が公開されて以来、すれ違いを続けてきたハリウッドと日本におけるゴジラの描き方について、現地メディア米Colliderを参考に考察していこう。
ハリウッドが見落としがちな『ゴジラ』の本質
日本人が生み出した怪獣「ゴジラ」は、核の恐怖の象徴だった。
例えば1954年版の『ゴジラ』には、「水爆」や「原爆」、「原爆マグロ」、「放射性降下物」といったワードが20以上も登場する。また、古代生物が、核実験の影響で人間に終末をもたらす悲劇のモンスターに変貌するというシナリオも、多くの人々の同情を誘うものだった。
しかし、本作を大幅に編集しアメリカナイズした『怪獣王ゴジラ』(1956)では、こういった描写はほぼ削除されており、核に関連したワードは4つしか残されていない。さらに、アメリカ人レポーターが物語の狂言回しになっており、ゴジラ自体はただの殺戮マシーンに化している。
こういった日米両国のフランチャイズの違いは、70年余りを経た現在も続いており、両国の文化と歴史の違いを理解する上で極めて重要な意味を持っている。アメリカと日本でゴジラがどのように解釈されてきたのか、早速紐解いていこう。