アメリカ版映画『怪獣王ゴジラ』は約80分に短縮
『ゴジラ』の日本公開後、アメリカの映画プロデューサー、エドモンド・ゴールドマンが東宝から25,000ドル(約372万円)で『ゴジラ』を購入。さらに、同じく映画プロデューサーのジョーゼフ・レヴィーンと映画スタジオ「エンパシー・ピクチャーズ」から支援を受け、アメリカ版のゴジラである『怪獣王ゴジラ』(1956)の制作に踏み切った。
『怪獣王ゴジラ』では、ジャーナリストの主人公スティーブ・マーティン(レイモンド・バー)と日本人キャラクター(フランク岩永)を加え、ストーリーも大幅に改変された。なお、映像は全て3日間で撮影され、吹き替えはわずか5時間で完了したという。スティーブ・マーティン役のバーに至っては、1日足らず勤務しただけだった。
とはいえ、これだけの追加要素があったにも関わらず、上映時間は80分に短縮。第二次世界大戦や原爆への直接的な言及をほぼ全てカットしたことが大きな要因となった。
結果的に、本作は興行収入は200万ドル(約3億257万円)の大ヒットを記録し、映画『ゴジラ』(1954)の日本での興行収入を約40万ドル(約5,933万円)を大きく上回った。また、本作はアメリカで商業的成功を収めた初の日本映画となった。
ただ、この時、主人公が非白人男性で、核兵器に対する批判が散りばめられた原作が改変されずに上映されていたら―。その答えは神のみぞ知るところだ。