「本当に立派な俳優になった」
15年ぶりの顔合わせで実感した林遣都の変化
――― 林遣都さんは、週刊誌の記者として、「隣人X」に関するスクープをものにするために良子に近づく男を演じていらっしゃいますね。久しぶりに林さんとご一緒されて、いかがでしたか?
「『ダイブ!!』を作った当時、林君はまだ高校1年生。映画『バッテリー』(2007)でデビューした彼の2本目の主演映画だったのですけど、初顔合わせの時に『映画に出てみてどうだった?』って聞いたら、『僕、主演したんですけど、まだ演技がよく分からないです』っていう会話をしたのが最初です。
なんせ当時はまだ15歳とか16歳ですからね。まだ上京前で、実家の滋賀で暮らしていたはずです。夏休みに撮影をするというので、事前に飛び込みの練習をみっちり行ったんですよ。心得がないとすごく危険な競技なので。
元オリンピック選手にコーチについてもらって、撮影前に1ヶ月くらいずっと合宿。林君との出会いはそこからスタートだったので、今回久しぶりに仕事をして、当時とは別人だと思いました(笑)」
―――綺麗な瞳の奥に、世の中の酷い部分も沢山見てきたんだろうなという闇の部分がしっかり表現されていて、素晴らしい役者さんだなと思いました。
「僕はずっと彼の出演した作品を観てきましたし、業界にいると林遣都の噂っていっぱい聞こえてくるんですよ。『あの役をやった裏では、こういう練習していたんだよ』とか。
僕は彼が凄い努力家で、真面目で、徹底的に準備をする姿を知っていますから、そうした姿勢を高校生の時から変わらずに、真っ直ぐに、誠実に努力を続けて、本当に立派な俳優になったなって。今回、改めて天性の俳優だなって思いましたね。当時から、『この子は化けるだろうな』って思っていたけど、凄い俳優さんになったなと」
―――他の映画では観られない、新しい林遣都さんの一面をお撮りになる喜びもあったのではないかとお察しします。
「そうですね。今回林君が演じたのは、全然カッコよくなくて、弱い人間が迷ったり悩んだりするという役柄。凄く難しい役だと思うんですよ。
でも、その弱さをリアリティを持って説得力豊かに演じるって、相当力が無いと出来ない。『林君だったら出来るだろう』と思ってオファーして、見事に期待に応えてくれました」