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「焼き飯は僕の親父から取ったエピソードです」
ユニークなセリフとエピソードの創作秘話

写真:武馬玲子
写真武馬玲子

―――伊藤万理華さん演じる咲は『目薬の涙はウソじゃないけど、こよりの涙はウソじゃない』といったユニークなセリフが最高でした。セリフは実際に見聞きしたものではなく、すべて監督の創作によるものでしょうか?

「ご指摘のセリフは僕の創作なんですけど、咲というキャラクター自体、バラエティーのADからドラマのディレクターへという経歴も含め、僕自身を重ねているところがあって。僕がずっと思っていた、この業界の滑稽な部分に対する気持ちを咲のセリフに仮託しているという部分はあると思います」

―――有働監督ご自身が経験したエピソードも入っているのでしょうか?

「実を言うとチャーハン(九州では焼き飯って言うんですけど)のエピソードは、僕の親父から取ったものです。親父は全然料理できないんですけど、焼き飯だけはなぜかお袋が作るものよりも美味くて。

要は、お袋が作っちゃうと野菜とか色々入れちゃうんですけど、親父が作る焼き飯は、ありもんで作るので、マヨネーズとかも使うし、醤油とかもドバドバ入れて味濃いし、具はソーセージだけ。それを子供の時に食べたらやたら美味くて。『焼き飯だけは親父のが美味い』みたいな記憶が僕の中でずっとあったので、今回、それを物語に組み込みました。

ちなみに、先日、地元で親父に車で送ってもらった時にその話をしたら全然覚えていませんでした。『あ、そうか』って。まあそういうもんですよね、親父って(笑)」

―――焼き飯のエピソードは、作品の根幹にかかわるものですが、まさか監督の実体験が基になっていたとは。升毅さんが演じられたお父さんは、言葉より態度で示す、といった“ザ・九州男児”ですね。性格面でも監督のお父さまのイメージが反映されているのでしょうか?

「全く反映されてないです。うちの親父はチャランポランで、お調子者タイプなので。逆に言うと、『こういう人こそ九州男児』っていうイメージが僕の中にあって、敢えてそこはステレオタイプにしてみたんです。九州で生まれ育った僕だからこそ、ステレオタイプにしてもいいかなと思って」

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