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蓮佛美沙子の表情に圧倒されたワケ。映画『女優は泣かない』考察レビュー。観る人の背中をそっと押してくれる逸品

脚本・監督を務めた有働佳史監督の故郷である熊本県荒尾市を舞台に製作された映画『女優は泣かない』が12月1日(金)より公開される。蓮佛美沙子演じる崖っぷちの女優と、伊藤万理華演じる若手ディレクターが再起をかけて奮闘する物語。今回はそんな本作のレビューを紹介する。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:あまのさき】

アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。

“やりたいこと”と“やれること”との葛藤
自分自身の夢への折り合いの付け方

©2023「女優は泣かない」製作委員会
©2023女優は泣かない製作委員会

夢や目標をもつのは素敵なことだ。何か行動を起こすときの原動力となってくれる。でも、時として足枷になってしまうこともある。さらに、その夢や目標を本気で手に入れようとしたとき、わたしたちは自分の能力と否応なしに向き合わなければならない。それらを改めて思い知り、同時にそっと背中を押してくれるのが、12月1日(金)公開の映画『女優は泣かない』だ。

スキャンダルをきっかけに女優としての仕事を失った園田梨枝(蓮佛美沙子)。謹慎明けの初仕事としてドキュメンタリーの撮影をすべく、10年ぶりに故郷の熊本へ降り立った。

制作を担当するのは、若手ディレクターの咲(伊藤万理華)。同期に先を越されて焦る中、希望するドラマ部への異動を懸けてドキュメンタリー作りに挑むことになる。

だが、2人は本来やりたいこととは異なることをやる羽目になり、今回の仕事に対してどこか投げやりだ。そして壊滅的にソリが合わない。

“やりたいこと“の前には“やりたくないけれどやらなければならないこと”が山のようにある。そして、“やりたいこと”と“やれること”は違う。自分の能力と向き合った後には、夢を諦めなければならない可能性も孕んでいる。

度重なる意見の衝突を経て、次第に自身の夢との折り合いの付け方と今回の仕事に対する考え方を変化させていく梨枝。希望に満ちていたはずの夢が、プレッシャーとプライドにまみれて歪む。そこで手放せたら楽なのかもしれないけれど、そうできないのは、濾されて濾されて、最後に残る感情によるもの。

プロとは何たるかとともに梨枝が出した答えは、夢を持ったことがある人、そしていままさに夢を追いかけている人の肩を、優しく抱いてくれるものとなるだろう。

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