「会ったら絶対に泣いちゃう」
芋生悠との数年ぶりの再会を語る
――今回、唐田さんが演じられた希は、疎遠になっていた同級生との再会をきっかけに、活き活きとした感情を取り戻していきます。唐田さんは、学生時代のご友人と間が空いたけど再会したり、連絡など取られたりしたご経験はありますか?
唐田「この間、地元に帰った時に、4年ぶりに会った友達がいました。それから、活動休止してから、芋ちゃんともずっと会ってなかったので、1、2年ぶりくらいに今回の映画の顔合わせで再会するなり、『芋ちゃんだ!』って嬉しい気持ちが込み上げてきました。とはいえ、久々に会うってなった時には、かなり緊張しました。会ったら絶対泣いちゃうと思って。あとから聞いた話ですが、芋ちゃんも『会ったら泣く』と思っていたらしいです」
石橋「私はクランクイン前に、読み合わせでもリハーサルでもなく、キャストの方とただお話をする機会を設けることが多いんですが、二人が再会する予定だったのもそこで。私も再会の瞬間に立ち会えるはずだったんですが、待ち合わせ場所に来たときにはすでに再会を果たしたあとでした(笑)」
唐田「そうでしたね(笑)。芋ちゃんとは、何年も会ってなかったのに、すぐに3 日前に遊んだかのようなテンションになって、2 人で笑い合いましたね。すぐに以前と同じような感じに戻れて嬉しかったです」
―――何気ないセリフのやり取りによって、心の機微が感じ取れる点も本作の魅力ですね。表面上では一見何かが起こっているようには見えなくても、主人公の心の波を感じられるようになっていて、一つひとつのセリフが計算して書かれていることがわかります。
石橋「そこはかなり気をつけていました。今回の脚本は、プロデューサーや助監督さんたちの意見もかなり反映されたものになっていて、わかりやすい大きな出来事が起きないからこそ、セリフの細かい部分で感情の流れを描くことは丁寧に考えました」
―――そういう意味では、本作は“言葉の映画”ですよね。
石橋「そうですね。ひとつ白状しちゃうと…実は私、人物の動きをつけるのがあまり得意ではなくて(笑)」
唐田「そうなんですか?」
石橋「テストでは役者さんにポイントだけ伝えて、『ご自由に動いてみて下さい』って伝えることが多いんですが、単に動きをつけるの下手っていう(笑)」
唐田「そんなイメージなかった」
石橋「よくありそうな日常会話をセリフで書いたり、感情の流れを演出するのは好きなんですけど、それを踏まえた上でどう動いたらいいのかというのは、私自身よりも役者さんに委ねた方が良いものが出てくると思っているので。大きい動線は伝えますが、それこそ、椅子の上で胡座をかく、といった細かい仕草はお任せすることが多いです」
―――アクション面は役者さんのアイデアにお任せすることで、言葉や感情の取り扱いに注力して演出なさっているのですね。
石橋「そうですね。作品の核になる部分やキャラクター、シーンごとの意図に関しては役者さんにすべて伝えているので、それを受け取ってどう動いてもらうかは委ねたい。そんな気持ちで演出に臨んでいます」