「きみは、本当は、良い子なんだよ」
本作が伝えるメッセージ
トットちゃんを演じた大野りりあなは、特に、序盤の演技が素晴らしかった。というのも、トットちゃんがひたすらおしゃべりを展開する場面なのだが、抑揚がなんとなく『徹子の部屋』の黒柳徹子を彷彿とさせるのである。トモエ学園に入学してからは、小さいエピソードが続いていくこともあり、そのおしゃべりっぷりは序盤でしか発揮されないのだが、掴みとして完璧だったように思う。
40年前のベストセラーが原作であることから、これといった目新しさは無いが、この作品が伝えたいテーマは、普遍的なものである。小林先生がトットちゃんに伝え続けた「きみは、本当は、良い子なんだよ」という言葉だ。
小林先生はトットちゃんに事あるごとに、この言葉を伝えたという。トットちゃんこと黒柳徹子は当時、自分が問題児である自覚はなかったが、自然と自分を疑わずに成長したのは、この言葉があったからだ。
本作のメインターゲットは間違いなく子どもであるが、小さなお子さんを持つ人や、自分に自信を無くしている大人が観ても、得るものがある作品だ。
(文・あさかしき)
【作品情報】
出 演:大野りりあな 小栗旬 杏 滝沢カレン / 役所広司 他
監督・脚本:八鍬新之介
共同脚本 :鈴木洋介
キャラクターデザイン:金子志津枝
制 作:シンエイ動画
原 作:「窓ぎわのトットちゃん」(黒柳徹子 著/講談社 刊)
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