「コミュニケーションを取ることが大切」
海外で見えた日本との現場の違い
―――ロサンゼルスの演劇学校へと留学されていますが、そこではどんなことを学びましたか?
「もともと映画が好きで、字幕なしで映画が観たいということもあって留学したんですけど、当時はまだ何者でもなかったので、今行けばもっと沢山のことを学べるのではないかと思います(笑)。
演技のクラスがいくつもあって、正直英語が難しくて何とか付いて行く感じだったんですけど、講師から『演技は旅。その旅路を楽しみなさい』みたいなことを言われたことがあって、『なんとでも言えるな』と当時は冷めた視線で見ていました(笑)。
とはいえ、即興のクラスは面白かった。授業では『あなたはマリファナ中毒ね』『あなたはアルコール中毒ね』と言われていきなりエチュードがスタートするんですけど、瞬発力が鍛えられました」
―――海外の現場を見学された印象として、日本とアメリカの現場で大きく異なるのはどのような点でしょうか?
「向こうは現場でコミュニケーションを凄く取るんですよね。日本では出たとこ勝負の化学反応でシーンを作り上げていくという傾向が強い。
でも、せっかく全員台本を貰っているんだから、それを基にコミュニケーションを取って、みんなで作り上げていくという姿勢が大切なんじゃないのかなと常に思っています。僕もすべての現場で実践できているわけではないですけど、心がけるようにはしています」
―――ご家族のことについてもお聞きしたいのですが、お兄さんに俳優の窪塚洋介さん、弟さんにミュージシャンのRUEEDさんがいらっしゃいます。どのようなご家庭でしたか?
「父親はサラリーマン、母親は主婦と普通の優しい家庭でしたよ。でも今でも凄く仲良くて。僕の家族と兄貴の家族、弟に両親の入った窪塚全員のグループLINEもあります。稼働しない日は1日もありません(笑)。結構頻繁に会うし、年末年始は毎年一緒にいますね」
―――私は神奈川県の出身なので、よく知っているのですが、お三方とも神奈川では屈指の進学校に進まれていますよね。
「なんなら母親もそこの出身なんですよ。公立なんですけど、私服で行っても平気なくらい校則が緩かった。でも高校3年生になると、どんなに遊んできた奴でもそこに入るくらいのプライドを持っているので、勝手に予備校行って勉強して、勝手に良い大学行く。生徒の自主性を尊重してくれる学校でしたね」
―――今後どのような役を演じたいですか?
「今、芝居や仕事に対するマインドを凄く良い状態で保てているので、駆け出しの精神で色々やってみたいと思っています」
―――本作を観る方にメッセージをお願いします。
「僕は観た時に、“一生懸命に生きなくちゃいけない”と改めて思わされました。もちろん、たまには怠けることもありますけど、やっぱり一生懸命自分と向き合わなければいけないなと。
とはいえ、『こういう風に観てほしい』という作品ではありません。これから観る方には、太宰治ものとか戦争映画であるといった先入観なしで観てもらえたら嬉しいです」
【作品情報】
『未帰還の友に』
窪塚俊介
土師野隆之介/八島諒 亮王 清水萌茄 蒼井染 君澤透
名倉右喬 橘レイア 水島裕子/萩原朔美
企画:福寿祁久雄 製作:田中じゅうこう プロデューサー:櫻井陽一 協力プロデューサー:溝上潔
原作:太宰治「未帰還の友に」(太宰治全集・筑摩書房刊) 脚本:大隅充・福間雄三 音楽:原將人・山本無二
撮影:根岸憲一(J.S.C) 照明:佐藤仁 録音:岸川達也 美術:吉見邦弘・田中太賀志
編集:小西智香 整音:吉田茂一 メイク:小堺なな
製作:幻野映画事務所 制作協力:幻野プロダクション 配給:トラヴィス
©GEN–YA FILMS 2023
監督:福間雄三
12月15日(金)よりアップリンク吉祥寺ほか全国順次公開
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