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阪神優勝に対する誤解
阪神が持つ言葉以上の力

「阪神タイガース THE MOVIE 2023 栄光のARE」
岩崎優 Ⓒ阪神タイガース THE MOVIE 2023

本作を見る前まで筆者は、今季の阪神は、岡田が発した言葉の持つ魔力によってナインが“集団催眠”のような状態になり、実力以上のものを発揮できた末の優勝だと思っていた。

それは1996年、当時の巨人・長嶋監督から発せられた「メークドラマ」という、ミスターならではの和製英語によってナインが奮起し、11.5ゲーム差からの大逆転優勝を成し遂げたエピソードが想起され、今回の阪神の優勝も、それに近いものなのだろうと感じていたからだ。

「アレ」も「メークドラマ」も、その年の流行語大賞に選出されたことで一致していたこともその一因だ。

しかし、その認識は間違っていたと、本作を通し痛感し、同時に「優勝とはそんな薄っぺらいものではない」と言われているようで、反省させられた。

就任当時、65歳を迎えていた岡田。もちろん12球団最高齢で、オリックスで最下位に終わった2012年以来11年ぶりの現場復帰とあって、そのブランクを不安視する声も少なくなかった。

しかも阪神は12球団で唯一、平成生まれの選手しかいない最も若いチームだ。そんなチームに岡田は「最も可能性を秘めている」と、ポジティブな第一印象を語っている。

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