宮崎駿が尊敬する高畑勲
話題は、宮崎が尊敬し、かつ最も恐れた高畑勲に移る。2人はライバルとして張り合いながらも、心の中では認め合っている複雑な関係性だ。2012年に同番組で取材した高畑勲は「完璧主義」の塊のような人物で、取材チームと全く嚙み合わなかった。
そんな高畑は宮崎にとって、「パクさん」と呼び、慕い、映画の全てを教えてくれた恩人だ。弔辞を読む宮崎は思わず涙を流し、言葉に詰まる。
高畑の死を受け入れられない宮崎の筆は進まない。2か月にも渡り、絵コンテはストップした。
やっと机に向かい絵コンテを描く宮崎。描いたのは作中でラスボス的に登場する“大叔父”。そのモデルは高畑だという。宮崎は「高畑さんは雷神になった」と語り、加えて、「これでもう映画を作らなくて済む」とも語る。
気分転換に散歩に出た宮崎は、高畑の幻影を探し続ける。ここまでくればもはや、永遠に成就しない片想いといってもいいだろう。