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七人の侍 演出の寸評

世界的な知名度を誇る巨匠・黒澤明の代表作であり、第15回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(監督賞)を獲得した、本格時代劇。準備期間を含め1年近い時間をかけ、予算は当時製作されていた国内映画のおよそ7倍である2億1000万円。破格のコストをかけて生み出されたのは、戦国時代末期のリアルな生活模様であり、真に迫った戦闘表現である。衣装、セットはもちろん、刀や装身具といった美術品にもこだわられており、三船敏郎演じる菊千代の兜には国宝級のものが使用されている。

戦闘シーンはCG全盛時代である現在から観ても、驚きの描写の連続だ。落馬した人物が馬に引き摺られながら数十メートルもの距離を移動するカットなど、見るからにリスキーな撮影が行われており、命がけで撮られた映像であることがしっかりと伝わる。また、久蔵や菊千代といったメインキャラクターが命を落とす瞬間は、御涙頂戴のクローズアップではなく、客観視点のロングショットによって描写されることによって、戦場の悲惨さが際立ち、観る者の胸を打つ。

また、しばしば一つのシーンから別のシーンへ切り替わる際に、「ワイプ」と呼ばれる編集技法を駆使し、一定のアクションやセリフを省略することで、長大な物語をテンポ良く、飽きさせずに見せ切る。とりわけ、7人の侍がチームを結成する過程は、歯切れの良い省略が効いており、観ていて惚れ惚れするほど。

勘兵衛(志村喬)が仲間を集める序盤の心躍るような展開から、キャラクターの個性が開花していく中盤の骨太な人間描写、そして終盤で描かれる言語不要の壮絶な戦闘シーンまで、多彩な演出が堪能できる本作は、後世の作り手に影響を及ぼし続ける、映画の教科書であると言っても過言ではないだろう。

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