「乃愛だけでなく私自身も受け止めてもらえた」映画『ブルーイマジン』主演・山口まゆ、単独インタビュー。本作への想いを語る
松林麗監督による初長編映画『ブルーイマジン』が3月16日(土)よりK’s cinemaほか全国順次公開。心に深い傷を負う女性の信念と連帯と葛藤を描いた青春群像劇。本作で主演を務めた山口まゆさんにインタビューを敢行。役作りから刺激を受けた共演者とのエピソードなどたっぷりとお話を伺った。(取材・文:あまのさき)
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
「事実と向き合うことを意識した」
悩みながらの撮影期間
―――今回の脚本を読んだとき、また、実際に演じ、完成した映像を観たときの感想を教えてください。
「まず脚本を読んだときは、私も俳優業をやっている身として、こういう事実をちゃんと伝えていかなきゃいけないということを感じましたね。そういう思いがあったからこそ、精一杯演じました。
撮影したのはちょうど1年ほど前で、当時は自分自身も悩んでいた時期だったので、すごく迷いながらやっていました。でも、1年経ってあのとき悩んでいたことが少しずつ解決してきて、いまはいろいろな道筋も見えてきました。なので完成した作品を観たときはすごく客観的というか、別の人を見ているような印象でした」
―――差し支えなければ教えていただきたいんですが、1年ほど前はどんなことに悩んでいたんですか?
「去年の3月に大学を卒業したんですけど、この作品は去年の2月に撮影していました。ずっと学業と両立してきたので卒業を目前にして、仕事一本になることに対する漠然とした不安や悩みが本当にたくさんあった時期でした」
―――では、改めて役者をやっていこうと決意したタイミングでもあったかな、と?
「そうですね」
―――今回演じた乃愛は、山口さんと同じ俳優という立場だからこそ、逆に演じるのが難しい部分もあったんじゃないかなと思うのですが、どういった意識で現場に臨まれましたか?
「俳優であることに関しては自分もやっているので、そこまで難しくはなかったのですが、性被害に遭ったという事実をどうやって自分のなかでに落とし込んでいくのかが難しかったです。怖いとか、苦しいとか、表面的な気持ちは理解できても、心の奥にある気持ちは理解したくても分からなかった。だからこそ、私にできるのは寄り添うことだと思って向き合っていました。
どんなことも前を向く方法は人によって様々ですよね。だから、乃愛はどういうふうに選択していくのか、ということを考えながら事実と向き合うことをずっと意識してやっていましたね」